DragonFly BSD was originally forked from FreeBSD 4.8 in June of 2003.

LinuxやBSD系OSのベンチマークを実施しているPhoronixがDragonFly BSDのHAMMERファイルシステムも含めたベンチマークを実施しその結果を公表した。DragonFly BSDのHAMMERファイルシステムはZFSやBtrfsなどに近いファイルシステム。ZFSよりもシンプルな設計で各種機能を実現しており、BSDライセンスのもとDragonFly BSDプロジェクトの元で開発されたオリジナルファイルシステムとされている。これまでHAMMERファイルシステムとほかのファイルシステムを比較したベンチマークが公表されるケースは少なく、ひとつの結果として興味深い。比較されているOSとファイルシステムは次のとおり。

  • DragonFly BSD - HAMMER FS、UFS
  • PC-BSD (FreeBSD) - ZFS、UFS
  • Ubuntu - Btrfs、Ext4、Ext3

公開された結果ではBtrfsやExt4が概ね優れた結果を示し、ZFSもそれなりの性能を示している。Phoronixではベンチマークの結果を踏まえ次のような意見をまとめている。

  • DragonFly BSDのUFSよりは、HAMMER FSは優れた結果を示している。
  • ZFSほど速くはないが、オリジナルで開発されたものでありBSDのファイルシステムとして興味深い。

このベンチマーク結果に対し、DragonFly BSDプロジェクトの発起人でありHAMMERファイルシステムの開発者であるMatthew Dillon氏が反論している。公開されているいくつかの試験は意味がないほか、ファイルシステムの性能計測に繋がっていないと疑念が残るという指摘になっている。いくつか指摘の内容をまとめると次のとおり。

  • Blogbenchの結果には多少の意味があるが、あの結果と説明では読者に誤った印象を与えている可能性がある。
  • ZFSには圧縮機能やde-dupと呼ばれる重複したデータを実際には書き込まないで共有する機能がある。これら機能が有効になっている場合、典型的に同じデータを書き込むベンチマークテストは実際の性能ではなく、ショートカットした結果が示されている可能性がある。
  • GZIP圧縮のベンチマークは意味がない。Linuxでは最適化されたgzipのコードが動作している。CPU処理に依存したベンチマークになっている。
  • BtrfsやExt4の結果はショートカット機能が働いた結果だと考えられ、あの結果がベンチマークとして正しいとは考えにくい。

Matthew Dillon氏は同じ条件でベンチマークを実施しなければ、ファイルシステムの性能の計測にならないとしている。たしかにこれまでもPhoronixが実施しているベンチマークは見かけ上の速さになっており、実際のシステムで動作する場合の性能計測とはいえないという指摘があった。今回の発表はHAMMERファイルシステムが取り上げられたこと、HAMMERファイルシステムの開発者がベンチマーク試験の不確実さを指摘していることなどが興味深い。

DragonFly BSDはFreeBSD 4.8から派生したOS。FreeBSD 5系で実施されたマルチコア/プロセッサへの対応とは別の方法で開発を進めることを目指している。HAMMERファイルシステムはその過程で実施された開発の成果物で、BSDライセンスのもとでZFSやBtrfsと類似したファイルシステムが開発されており興味深い。