情報処理推進機構

IT投資の効率化と省電力化の推進という狙いがあり、大企業におけるクラウドコンピューティングへの関心が高まっている。大企業の場合、自社でクラウドコンピューティング環境を構築し、自社におけるコンピューティングリソースの集約と効率の向上を狙うことになる。

こうしたシステムを構築する場合、数百台の及ぶサーバH/Wを制御し、そうしたプラットフォーム上に構築される仮想環境を制御し、コールドマイグレーションやライブマイグレーションを実施して実際に稼働するサーバH/Wの台数制御などを実施する必要がある。さまざまな技術やH/W、S/Wを組み合わせてこうしたシステムを構築する場合、標準化されたインタフェースの存在が重要になる。

どういったインタフェースが存在し、それぞれにどういった状況にあるか、今後どういった展開を見せるか、または見せるべきかといった調査結果がIPAからVMの制御に係るインタフェース仕様の動向調査として公開された。発行機関はIPA(情報処理推進機構)だが、実際に調査を実施したのは三菱総合研究所。

仮想化技術を活用したクラウドプラットフォームを構築するにあたり重要になるインタフェースおよび関連団体を抜粋すると次のとおり。

  • DMTF - 仮想化などに関する標準化を推進している団体。
  • WBEM - システム管理機構。将来はクラウドコンピューティングインフラストラクチャ全体をWBEM経由で制御できるようになる可能性がある。
  • SMASH - サーバ管理向けインタフェース。普及促進団体はSMF。すでに多くの採用事例を持つ。
  • VMAN - 仮想化環境管理向けインタフェース。普及促進団体はVMF。まだ採用事例は少ないが、参加している企業から見て今後の普及が有望。
  • OVF - 仮想マシン構成フォーマット。コールドマイグレーションに効果あり。すでにANSIで採用されている。

Xen Hypervisor、VMware ESX、Hyper-Vは現状ではそれぞれ独自インタフェースを採用しており、各インタフェースに対応する必要がある。今後の標準化へ向けた取り組みが期待される。なお、OVFは先日リリースされたフル仮想化プロダクトVirtualBox 4.0でも対応が実施されている。VMの制御に係るインタフェース仕様の動向調査では、日本においてもSMASHやOVFを含めたVMAN利用を政府主導で推進すべきだと結論づけている。