旭硝子(AGC)は12月27日、結晶Si系太陽電池用電極向けに、鉛フリーの焼結用粉末ガラスの販売を開始することを発表した。
結晶Si系太陽電池セルの電極は、アルミや銀などの金属ペーストを、Si基板上へ塗布後に加熱し、焼結成型する。その際、金属ペーストへ焼結用粉末ガラスを数%添加することで、金属とSiの密着性、電気特性、経時耐久性を高められるほか、焼成後のSi基板の反りを抑制できるため、焼結用粉末ガラスは、太陽電池セルの特性を左右するキーマテリアルの1つと位置付けられている。
従来、それらの効用を持たせるため、焼結用粉末ガラスには、鉛を含有するガラスが使用されていたが、環境問題への関心が高まり、RoHS指令などの各種環境規制も実施される状況において、同社もさまざまな組成を持った鉛フリーの焼結用粉末ガラスの開発を進めてきた。
今回、その成果の1つとして、ビスマス系の組成を持つガラスを太陽電池電極用として提供することを決定した。ビスマス系ガラスは、太陽電池電極用としてクリティカルな耐酸性について、従来の鉛入りガラスに比べて高い性能を有しており、粒径は1μm以下、軟化点450~600℃で、耐酸性は現行の鉛入りガラス比で2倍以上に向上している。
なお、同社ではすでにディスプレイ用ガラスなどで鉛、ヒ素、アンチモンフリーのガラスを製品化するなどの技術を活用することで、さらに環境に配慮しつつ高機能な製品の提供を目指していくとしている。