NECは12月27日、地球シミュレータを利用して、カーボンナノチューブに包含された塩化水素分子へのレーザー照射によって効率的に水素を発生できる光化学反応を世界で初めて計算機シミュレーションで予測したと発表した。
同シミュレーションは海洋研究開発機構の共同利用研究テーマ「カーボンナノチューブの特性に関する大規模計算」において実施されたもので、水素発生だけでなく、レーザー照射に伴う既知の光化学反応の効率化による安価な材料の大量合成や新物質合成にもつながる研究成果。
地球シミュレータは、11月に米国で開催されたスーパーコンピューティングの国際会議SC10において、高速フーリエ変換の計算で性能評価に基づくHPCチャレンジ・アワードの1位を取得しているが、今回用いたソフトウェアの計算の50%近くを高速フーリエ変換が占めている。
そのため、従来の計算機ではレーザー照射の計算に数ヵ月かかっていたところ、地球シミュレータでは2日で完了した。その結果、光の強度を変えて適切なレーザー照射条件を実用的な短期間で決定することに成功した。