Intersilは、自動車用のリアビュー(後方カメラ)・セーフティシステム向けに、独自のシリアライザ/デシリアライザ(SerDes)インタフェースIC「ISL76321」を発表した。

「ISL76321」のブロック図

同製品は、ビデオデータおよび双方向コントロール情報の伝送と電源の供給を1本のシールド付きツイストペア(STP)ケーブルで行える1チップ構成のトランシーバソリューション。

最大16ビット幅のビデオデータと双方向IICコントロール情報を1本のSTPケーブル上に集約し、20m以上の長さにわたる伝送を実現する、SerDesで、リンクの遠端に接続されているリアビューカメラをリモートで制御できるため、ホストコントローラからIICインタフェースを介して動作モードの切り替えや露出調整やウインドウイング(切り出し)などの制御が可能で、最適な状態でカメラを動作させることができる。

また、制御データをビデオデータと同じケーブルで伝送できるため、ケーブルハーネスの引き回しが容易なほか、ケーブル重量の軽減も可能となると同社では説明している。

同製品のトランシーバは、8MHzから50MHzのピクセルクロック範囲に対応するとともに、最高で100Mbpsの生データレート(未加工データの伝送速度)を収容することができるため、車線逸脱警報システム(LDWS)、信号灯認識、歩行者衝突回避システムなど、映像を用いたパッシブ・セーフティシステムおよびアクティブ・セーフティシステムに求められる信頼性の高いリンクを実現することが可能だ。

さらに、信号品質を高めるために業界標準となっている8b/10bエンコーディングを採用しているほか、リンクの活線挿抜にも対応している。加えて、ラインクロックに対して、従来製品がロックに10ms以上を要するのに対して10μsでロックするPLL回路を搭載しているため、電磁ノイズの多い環境においてもリンクの信頼性を確保している。

このほか、負荷電流が最大1A程度であれば、STPケーブルのLVDS信号を使って電源を供給することが可能となる。信号と同じSTPケーブルを介してリモート端のデバイスに電源を供給できるため、ケーブルハーネスの引き回しが簡単になるほか、ケーブルのコストおよび重量が抑えられるとともに、製造工程での組み立て作業の単純化することも可能となる。

なお、同製品はすでにAEC-Q100グレード2の認証を取得済み(-40℃~+105℃)で、小型48リードTQFNパッケージで供給され、1,000個受注時の単価は4.55ドルとなっている。一部のカスタマ向けに先行サンプルを提供中で、量産開始は2011年1月を予定している。