ハードウェアの性能向上やクラウドサービスの普及などを背景としてデータセンターの増築や新設が各地で相次いでいるが、小誌ではこのほど、TISが都内に建設中の「次世代データセンター」内部を取材する機会を得た。ここでは、普段目にすることはできない建設中のデータセンター内部を紹介しよう。
ターミナル駅から徒歩10分程度の好立地条件
今回取材したTISのデータセンターは、免震構造を持つ地下2階、地上6階の鉄筋コンクリートの建物になっている「GDC御殿山」。場所は「東京都品川区」というところまでしか公表できないが、ターミナル駅からも徒歩10分程度の距離にあり、恵まれた立地条件となっている。
すでに6月に発表済みとなっているが、このデータセンターは建物の環境性能を評価する「CASBEE(Comprehensive Assesment System for Built Environment Efficiency)」で最高ランクとされる「Sランク」の認証を取得していることが特徴の1つとされており、同社によれば「データセンターとしての環境性能では日本屈指のレベル」だという。
地震対策
地震対策は「積層ゴムアイソレータ」と「弾性すべり支承」と呼ばれる2つの免震装置を組み合わせた"ハイブリッド型免震機構"によって実現。建物の側面にも約50cmのクリアランスを設け、地震による地表移動でビルに影響が出ないようにしている。
サーバルーム
同施設の延床面積は約2万平方メートル。約3000台のラック収容能力を持ち、同社のデータセンターの中で最大規模となる。
サーバルームは地上階にいくつかのエリアに分けて配置され、最も広いエリアは、小学校の運動会が開けそうなほどの面積がある。
入退室管理
各エリアはICカードと生体認証による入退室管理が行われ、共連れ防止のインターロック方式ゲートが設置される。このゲートでは体重計による判断も行われる。抱き合って!?の共連れも防ぐ。
受電・発電設備
データセンターの心臓部とも言えるのが、電力設備だ。同データセンターは66kvの2系統受電となっており、構内の配電設備も冗長化されている。ちなみに同データセンターのPUE(Power Usage Effectives)は1.36を実現するという(一般的に、現在の技術では1.2が限度とされる)。
自家発電機設備は最上階に配置される。備蓄燃料は48時間以上の連続運転が可能とされており、自家発電機が稼動するまではUPS(無停電電源装置)により、無停電で給電される。
環境対策
繰り返しになるが、まだ同データセンターは工事中の段階であり、環境対応の観点での「次世代」らしい設備は一部しか見ることができなかった。しかし、取材時にその一部である自然光を採光するユニークな仕組みが取り入れられていたので、最後に紹介しておこう。