Freescale Semiconductorは、自社の「QorIQ」、「PowerQUICC」「i.MX」の各プロセッサにEtherCATプロトコルを搭載した、産業オートメーション向けリファレンス・ソリューションを発表した。
QorIQ向けは、「acontis EtherCAT Master」および「Green Hills INTEGRITY」RTOS(リアルタイムOS)を組み合わせた産業リファレンス・ソリューションで、「P2020」QorIQマルチコア・プロセッシング・プラットフォーム上に、acontis technologiesの「AT-EM EtherCAT」マスタ・プロトコルおよびGreen HillsのINTEGRITY RTOSが統合されており、ファンレスで最大3500MIPSの性能を実現することが可能だ。
AT-EM EtherCATマスタは、信頼性、堅牢性、およびリアルタイム性能を備えており、冗長リング動作とホット接続の機能パックにより、接続されているEtherCATスレーブ・ノードの動作に影響を与えずに構成を変更することが可能だ。また、Green HillsのPlatform for Industrial Safetyは、高信頼性のリアルタイム産業アプリケーションで安全なリアルタイム制御を保証する独立したカーネル・アーキテクチャ持ち、IEC 61508 SIL3およびEN 50128 SWSIL4の安全認証を受けているほか、INTEGRITY RTOS技術を拡張し、Android OSなどの汎用OS上で動作する信頼性の確保が困難なアプリケーションと並行して高信頼性のリアルタイム・クリティカル・ソフトウェアの安全な実行を可能にするハイブリッド・アーキテクチャのINTEGRITY Secure Virtualization(ISV)を搭載。
さらに、グラフィックス、USB、およびIPv6ネットワーキングを収めた包括的なミドルウェア・スイートおよび「MULTI」統合開発環境(IDE)などを搭載している。
なお、同ソリューションは、2010年9月にEtherCATテクノロジ・グループによるプラグフェスト(相互接続性試験イベント)の試験に合格している。
2つ目の「PowerQUICC」向けは、「KPA Master EtherCAT」および「QNX Neutrino」RTOSを組み合わせた産業リファレンス・ソリューションで、「MPC8536」PowerQUICC通信プラットフォーム上で稼働するKoenig Prozessautomatisierungs(KPA)のMaster EtherCAT、およびそれに統合されるQNX Software SystemsのQNX Neutrino RTOS Safe Kernelで構成される。
KPA Master EtherCATは、フル機能で扱いやすいリアルタイム性能を備えており、「ケーブル冗長化」や「ホット接続」、有用な診断機能などの機能パックが用意されているほか、ネットワーク動作の設定および監視には、マスタとスレーブの両方で利用できるKPA EtherCAT Studioツールを使用することが可能だ。
また、QNX Neutrino RTOS Safe Kernelは、IEC 61508 SIL3規格およびPOSIX PSE52 Realtime Controller 1003.13-2003規格の認証を受けており、CPUアダプティブ・パーティショニングとマルチコア・サポートの両方の機能を備え、QNX Neutrinoの標準マイクロカーネルと完全互換のため、開発者はAPIを変更せずにソフトウェアの移行を行うことができる。
なお、MPC8536は、最大3500MIPSの性能とともに各種コネクティビティが統合されている。
3つ目のi.MX向け産業ソリューションは、ARM9コアをベースとする「i.MX28x」アプリケーション・プロセッサ・ファミリ上にacontisのAT-EM EtherCATマスタ・プロトコルとLinuxを統合したもの。i.MX28xプロセッサは、複数のコネクティビティを統合しており、0.5W未満の消費電力で最大500MIPSの性能を達成することが可能だ。これらのデバイスは、医療機器、エネルギー供給装置、計器、ヒューマン・マシン・インタフェース、および産業用コントローラの用途向けとしており、参考価格は6ドル未満となっている。
なお、各プロセッサおよび評価システムは現在出荷中となっている。