東京大学宇宙線研究所は、同研究所重力波グループなどによって進められている大型低温重力波望遠鏡(LCGT:Large-scale Gravitational Wave Telescope)計画の愛称を12月14日より募集開始したことを発表した。
LCGTは、腕長さ3kmの重力波検出器を神岡鉱山内に建設する計画で、感度をさらに良くする独自の工夫を施すことで、年に数回以上の重力波を検出することを目指そうとしている。
アインシュタインの一般相対性理論では、質量をもった物体が存在すると、それだけで時空にゆがみができ、さらにその物体が(軸対称ではない)運動をすると、 この時空のゆがみが光速で伝わっていくことを重力波としている。
重力波は波動現象で、すべてを貫通し、減衰しないと考えられているが、電磁波ではなく、重力を発生する起源である質量が運動することで発生する。
質量は、時空の構造を決定するために重要な要素となるため、重力波を観察できれば、従来の電磁波などを用いた観察と根本的に異なる領域の学問を切り開くことが期待されている。
現在、科学者たちが期待しているのは、
- アインシュタインの一般相対性理論の検証
- 宇宙誕生のより初期の情報の取得、および宇宙重力波背景放射の検出
- 非常に強い重力場での物理現象の観察
などとなっている。
今回の愛称募集について東大宇宙研では、「このLCGT計画の本格的な建設が始まったことを受け、皆さんと、この計画の目指すものと、研究者らのこの計画にかける思いをわかちあいたいと願い、愛称を募集することになりました」と説明している。
募集期間は2011年2月9日17時までで、応募資格はとくになく、複数応募も可能だ。ただし、すでに商標登録されているものについては対象外となる。選考方法は、作家の小川洋子氏を委員長とする命名委員会による選考を経て、商標登録などの確認を行った後に、採用が決定される予定。
発表は2011年3月に一般講演会を開催し、その場で発表される予定となっている。