ビクター・JVCは12月14日、次世代の高精細HDカメラ用の技術として、動画および静止画両方の高速信号処理を1チップで実現することで、「フルHDの3D映像」「4K2K映像」「高速静止画」の撮影を可能にしたLSI 「HDカメラ用 次世代ハイスピード・プロセッサ」を開発したことを発表した。

「HDカメラ用 次世代ハイスピード・プロセッサ」

同製品は、ビデオカメラにとって重要な「カメラ信号処理」「動画圧縮処理」「静止画圧縮処理」の3つの映像信号を個別にハイスピードで処理し、高精細なフルHDの2D映像はもとより、フルHDの3D映像や4K2K映像、高速静止画といった次世代の高精細映像のリアルタイム撮影・記録が可能だ。40nmプロセスを採用し、従来品比40%減となる低消費電力化と同50%減となるシステムコストダウンを実現しつつ、LSI内部の信号処理を基礎から見直し、高画素動画記録を妨げる画像処理速度のボトルネックを排除することに成功。これにより、カメラ信号処理では処理速度を従来品比1.7倍に向上させ、最大で830万画素を60fpsで処理することが可能となっている。

同社のビデオカメラ用LSIの変遷

また、動画圧縮処理では、H.264コーデック処理速度を従来比2倍に向上、最大207万画素動画を60fpsで圧縮することが可能となっているほか、静止画圧縮処理ではJPEGエンコーダ処理速度を従来比5.5倍に向上させ、最大で830万画素の静止画を60fpsで圧縮することが可能となっており、これら3つの信号処理技術を支えるCPUの処理能力も従来比2.7倍を実現している。

信号処理のイメージ

これら処理性能の向上により、左右の独立したセンサから入力された2つのフルHD(1920×1080 画素/60p)映像を、3D対応の画像圧縮フォーマット「MPEG-4 MVC」でリアルタイムエンコード処理することが1チップで可能となった。

3D処理のイメージ

また、フルハイビジョンの4倍画素数を持つ4K2K映像(3840画素×2160画素/60p)を撮影する高精細カメラのシステムを構成することも可能となったほか、ハイスピードカメラ処理回路とハイスピードJPEGエンジンを搭載したことによるフルハイビジョン動画記録中でも830万画素の静止画を60枚/秒で同時に記録することや、ハイスピード動画コーデックを搭載することで、3D記録モード時でも300フレームの高速動画記録が可能となっている。

なお、同社では今後、同製品を民生用のほか、業務用のカメラ機器へも搭載し、LSIプラットフォームの統一を進め、LSIの製造コストダウンと商品の開発期間短縮を図り、ビデオカメラ商品の迅速な市場投入を目指すとしている。