STMicroelectronicsは、監視カメラ、現金自動預け払い機、券売機、舞台照明、プリンタ、自動販売機などに使用されるモータを、より短期間、より低コストで実現することができるモータ制御用SoC「dSPIN(digital SPIN)」として「L6470」を発表した。
同製品は、同社のBCDプロセスで製造され、ステッパ・モータの制御に必要なすべてのデジタル制御、アナログ計測、およびパワー・エレクトロニクス回路を集積したもので、特別なハードウェアおよびソフトウェアの設計作業が不要で、部品点数と基板面積を低減し、最終製品の開発期間を短縮することができるようになると同社では説明している。
また、モータ制御のためのデジタル演算機能がハードウェアに実装されているため、アプリケーションのマイコンは、加速、減速、速度および目標位置の命令だけを送信するだけで良く、これにより、マイコンのソフトウェア設計が簡略化されると共に、余剰リソースを他の機能に使用することができるようになる。
さらに、電圧モード制御アルゴリズムを使用することで、スムーズなモータ動作を実現可能。同方式により、正確な正弦波の波形をモータに供給することが可能で、128マイクロステップの位置分解能を実現する、デジタル制御が可能になるほか、共振、機械ノイズおよび低速時の振動を低減でき、また低速時における速度とトルクのリップルも減少させることが可能となる。
2チャネル、低いオン抵抗(0.28Ω)のDMOSフル・ブリッジで、出力電流ピーク値は7A(3Arms)、動作電圧範囲は8V~45Vとなっており、電力消費ゼロの電流制御回路を内蔵している。
なお、放熱特性を強化したHTSSOPパッケージに実装された「L6470H」が現在量産中で、単価は1000個購入時に約4.50ドルとなっている。また、PowerSO36パッケージ製品を、2011年前半から提供開始する予定としている。