IPベンダ英Imagination Technologies(IMG)の日本法人であるイマジネーションテクノロジーズは12月6日、都内で会見を開き、同社の新製品などの発表を行った。
Imagination TechnologiesのCEOであるHossein Yassaie氏 |
同社CEOのHossein Yassaie氏は、「すでに我々のIPの多くが日本でも例えばNTTドコモの携帯電話にTexas Instruments(TI)やルネサス エレクトロニクスのチップとして入っているほか、iPhoneなどにも活用されている」とし、すでに同社IPを搭載した量産ベースのチップは2009年5月~2010年4月までの1年間で1億2600万個に到達、「2011年4月には2億個を突破したとアナウンスできると思う」と、その成長を強調、将来的には5億個を目標として事業を進めていくとした。
そんな同社が今回発表したトピックスは大きく5つ。1つ目は同社の32ビットマルチスレッドプロセッサIP「META」向けにAndroidとその上で動作するアプリケーションをサポートするというもの。
META用Androidは、META向けにカスタマイズしたDalvik仮想マシン(VM)を手作業で最適化することで、META上でAndroidアプリケーションを動作させることが可能となる。同社では家電製品での活用を想定しており、携帯機器やSTB、タブレットPCなどでの利用を想定している。
2つ目は通信用IPコア「ENSIGMA UCCP(Universal Communications Core)」の最新製品となる「UCCP320」を発表したこと。同IPは、Wi-Fiのほか、802.11a/b/g、ATSC(8VSB)やNordig Unified2.0、DVB-T、DVB-T2、DVB-S2/S、DVB-C、13セグのISDB-T、ISDB-C、ISDB-T、CTTBなどの主要デジタルTV規格、ならびに各種携帯TV規格、デジタルラジオ受信規格などをカバー。これにより、1つのIPを用いるだけで世界中の各種規格に対応することが可能となる。
3つ目は、グラフィックスコア「POWERVR SGX」の最新版となる「SGX554」を発表したこと。同コアは、1コアあたり従来の4段パイプラインから8段パイプラインにすることで性能を向上。マルチプロセッサ構成では、2コア~16コアで、16段~128段のパイプライン処理を可能とする。
DirectX9をサポートするほか、OpenGL2.1、OpenGL ES1.1&2.0、OpenVG1.1などに対応。また、OpenCL1.1組み込みプロファイルもサポートしており、組込機器でGPUコンピューティング(GPGPU)を活用することが可能となると同社では説明している。
4つ目は、マルチプロセッサの「POWERVR SGX543MP2」を搭載したSoCをルネサス エレクトロニクスが開発したというもの。同SoCは、従来の同社SoC比で5倍の性能向上を実現しているという。また、POWERVR SGX MPコアを採用したSoCはすでに10製品以上設計およびシリコンへの搭載が図られているという。
5つ目は、マルチストリームビデオIP「POWERVR VXD/VXE」に新コア「VXD392」と「VXE382」を追加したこと。VXD392は、各種主要ビデオ規格に対応するほか、WeM(VP8)とS3D、H.264 MVC(Multi View Coding)にも対応する。また、4K×4KのUltra HDにも対応することが可能となっている。
同IPを活用することで、多数の視点からのテレビ映像を可能とし、臨場感のあるテレビ会議システムなどを実現できるようになると同社では説明している。
一方の、VXE392は、これまでの画像生成技術と比べ、バンド幅を減らしながらも性能を向上させることを成功したものとなっている。そのため、レイテンシ耐性を高め、最少のシステム要求で高い性能を実現することが可能となるとしている。
また、マルチスタンダードのSDおよびHDビデオエンコーダであり、マルチストリーム入力やBlu-ray 3Dで使われているH.264 MVC規格プロファイルなどもサポートしており、これにより、立体的でインタラクティブな3D応用や高性能なビデオ通信が可能となるという。