Salesforce.comは12月7日(米国時間)、ユーザー&デベロッパーカンファレンス「Dreamforce 2010」にて、データベースクラウド「Database.com」を発表した。ここでは、同社のProduct Marketingのディレクター、Andrew Leigh氏に、Database.comとDatabase.comを包括する同社のクラウド開発プラットフォーム「Force.com」の展望について聞いた。

同氏は、Database.comについて、「Database.comはわれわれにとって自然な進化だ。というのも、CRMを最初に提供したが、後にその上の部分のオープン化を行い、今回さらに開発環境を取っ払ってデータベースと直接やり取りできるようにしたという背景があるからだ」と語った。

Salesforce.com Director of Product Marketing Andrew Leigh氏

Database.comは10年間のノウハウの結集

同氏は、Database.comの起源は、CEOのMarc Benioff氏とExecutive Vice President, TechnologyのParker Harris氏が創業当初から作り始めたデータベースにあると語る。「最初のデータベースのアーキテクチャはリレーショナルデータベースだったが、これを拡張してマルチテナント型のデータベースとしてクラウドに展開した。これが可能だったのはアーキテクチャのクオリティがよかったからだ」

同社では数年、そのデータベースを使い続けたが、注目すべきトレンドとして、ソーシャルネットワーキングに気づき、それへの対応に着手した。

「10年前のデータベースと比べて、今のデータベースはデータの定義が異なっている。プロフィールやフィードといった定義はソーシャルネットワーキングへの対応と言える」

同社の業務で培ったノウハウという意味では、日本郵政など大規模な組織のデータを格納・保護を行っていることもDatabase.comに反映されていることになる。「これまでのわれわれが顧客のデータの保管や保護をきちんと行ってきたことで、われわれはマルチテナント型データベースの有効性を証明したというわけだ」

アドバンテージはオープン、モバイル、ソーシャルへの対応

次に、クラウド開発プラットフォームにおける競合に対するアドバンテージを聞いてみたところ、「これからの開発環境はモバイルとソーシャルネットワーキングに対応できていなければならない。Database.comを含むForce.comはそれを実現している」という答えが返ってきた。

「SAP、IBM、マイクロソフトの開発環境は旧式だ。将来、過去の技術は通用しない。例えば、iPadを考えていただきたい。昨年のDreamforceが開催された時にはこの世に登場していなかったが、今ではIT業界の主力製品となっている」

これはオンプレミスの競合に対するアドバンテージと言えよう。さらに、GoogleやAmazonといったクラウドベンダーについても聞いてみた。

すると同氏は、「Google、Amazon、Windows Azureよりも、まずわれわれの開発環境はオープンだ。また、われわれは通常50万件のトランザクションを処理しているが、そのうち半分はシステム間の統合されたトランザクションであり、すでに可用性を立証済みというわけだ」

ただし、同社は競合を敵として見なしているわけではなく、同社がコンシューマーが適用しやすい手法を提供しているように、競合も同じことを行ってほしいと考えているという。

VMforceはオープン戦略のファーストステップ

同社は昨年、VMwareと提携して、JavaアプリケーションをForce.comに稼働させるためのプラットフォーム「VMforce」を発表し、話題をさらった。VMforceは現在開発中であり、その進捗はどんなものであろうか?

「VMforceは6ヵ月前に発表されたが、われわれの開発プラットフォームをオープン化するという戦略のファーストステップだったと言える。これにより、Javaに加えて、Ruby、PHP、.NETといった言語によるアプリケーションの稼働がサポートされることとなった」と、同氏は説明する。

なお、VMforce特別な位置付けにあり、同社では独自のプロダクトとして製品化を行っていくという。

VMforceは来年に本稼働する予定で、それによってForce.comにおけるJavaアプリケーションの稼働が実現される。

実のところ、8日にForce.comの大きな発表が控えており、インタビューを行った時点では、残念ながら今回発表される予定の全貌を聞くことができなかった。引き続き、同社のオープン戦略をお知らせしよう。

あらゆる言語、プラットフォームをサポートするDatabase.com