Tektronixの日本法人である日本テクトロニクスは12月8日、オシロスコープのラインアップを拡充/強化する製品として「MSO/DPO5000シリーズ」および「MSO/DSP4000Bシリーズ」を発表した。2シリーズともに300MHz~2GHz程度のミドルレンジ・マーケットを狙うものとなっている。

MSO/DSP5000シリーズは、OSとしてハイエンド向けオシロスコープで採用しているWindows 7 Ultimate 64bit版を採用。これにより、ハイエンド向けで活用されていた「FastAcq波形取り込みモード」やジッタタイミング解析ソフト「DPOJET Essentials」、シリアル・バスのトリガ/解析、オプションとしての総合解析機能などが活用できるようになっている。

MSO/DSP5000シリーズの外観。重量は7kg、奥行きは206mmとのこと

また、使い勝手を意識して、MSO/DPO4000シリーズや同3000シリーズで好評だった「MagniVu高速デジタル・アクイジション」による60.6psの分解能によるトリガ周辺の10000ポイントの信号詳細の取り込みや、長い取り込みレコード上を簡単に移動して、結果を確認することが可能な「Wave Inspector」などが搭載されている。

レコード長は標準で12.5Mポイント、オプションを用いれば最大250Mサンプルまで取得できる。また特定のイベントのみに注目して取り込みを行うことが可能な「FastFrameセグメント・メモリ」を活用することで、高解像度ながら長時間の取り込みが可能となっている。

MSO/DPO5000シリーズはハイエンドの各種機能と従来の4000/3000シリーズなどで培った使いやすさの融合を目指し、かつ価格も意識した8機種がラインアップされている。

一方のMSO/DPO4000Bシリーズは、従来品「MSO/DPO4000シリーズ」の後継となるもので、各種機能強化が図られたほか、USB 2.0やEthernet(10BASE-Tおよび100BASE-TX)、MIL-STD-1553などへの対応が図られている。このため、性能としては、サンプルレートそのものは500MSps(16.5GSps with MagniVu)と従来と変更はないが、最大入力トグルレートは150MHz増の500MHz、スレッショルドレンジは-2~+5Vだったのが±40Vに、最少入力スウィングは500mVp-pから400mVp-pに、最大入力電圧スウィングは6Vp-p(スレッショルド中心)から30Vp-p≦200MHz、10Vp-p>200MHz、DC入力電圧レンジは±15Vから±42Vpeak、最少検出パルス幅は1.5nsから1nsへそれぞれ向上している。

また、特定波形における信号の変化やパス/フェイル結果のモニタなどが可能な「リミット/マスク・テスト」機能を搭載。テレコム規格、シリアル規格およびカスタム・マスクのマスクテストを実行することが可能となっている。

MSO/DPO4000Bシリーズの各種機能

さらに、オシロスコープながらビデオ周辺機器に関する業界標準化団体である「VESA(Video Electronics Standards Association)」の規格に沿ったLCDモニタのアームなどを取り付けることが可能。これにより、スペースの少ない場所でアームを介して宙に浮かせる形で配置したり、壁掛けにすることも可能となる。

左写真の左側がMSO/DPO4000Bで右はMSO/DPO5000。右側の写真はMSO/DPO4000Bを裏面から撮影したもの。LCDアームとつながっているのが分かる

このほか、MSO/DPO5000シリーズ、同4000Bシリーズともに低容量受動電圧プローブが用意されている。いずれのシリーズも500MHzおよび1GHz品で、3.9pFの負荷容量となっており、「従来品比で負荷容量は1/2、周波数帯域は2倍に向上した」(Tektronix ミッドレンジ・オシロスコープ事業部 ジェネラル・マネージャのRoy Siegel氏)とする。

中身は同じだが、左がMSO/DPO5000の際に紹介されたプローブのスライド。右がMSO/DPO4000Bの際に紹介されたプローブのスライド

Tektronix ミッドレンジ・オシロスコープ事業部 ジェネラル・マネージャのRoy Siegel

この5000および4000Bという2シリーズが同社のポートフォリオに加わったことで、「今日の2シリーズの投入によりエントリーからハイエンドまで包括的な製品ラインアップが構築されることとなった」(同)としており、今後もポートフォリオの充実を重視し、同一レンジ内では価格差をそれほど設けずに、用途に応じてカスタマに選択してもらうという戦略を行っていくとしており、「特にミドルレンジは我々がフォーカスしている分野。2011年以降もこれまで築き上げてきたリーダーシップのポジションをキープしていく最大の努力を続けていく」としている。

なお、2シリーズともにすでに出荷も開始しており、価格は「MSO5034型 ミクスド・シグナル・オシロスコープ」(最小構成:350MHz、5GSps、12.5Mポイント・レコード長、4+16チャネル)で178万円(税抜)から、「DPO5034型 デジタル・フォスファ・オシロスコープ」(最小構成:350MHz、5GSps、12.5Mポイント・レコード長、4チャネル)で138万円(税抜)から、「MSO4034B型 ミクスド・シグナル・オシロスコープ」(最小構成:350MHz、2.5GSps、20Mポイント・レコード長、4+16チャネル)で153万円(税抜)から、「DPO4034B型 デジタル・フォスファ・オシロスコープ」(最小構成:350MHz、2.5GSps、20Mポイント・レコード長、4チャネル)で124万円(税抜)からとなっているほか、受動電圧プローブ「TPP1000型」(1GHz、10:1受動電圧プローブ)が10万8000円(税抜)、受動電圧プローブ「TPP0500型」(500MHz、10:1受動電圧プローブ)が7万1,500円(税抜)となっている。