マイクロソフトは12月2日、「Microsoft Innovation Award 2010」の最優秀賞を発表した。広島県のソフトウェアベンダー「イノテック」が受賞している。

授賞式の模様。前列の中央がイノテック 代表取締役社長の伊藤賢治氏。左はマイクロソフト 最高技術責任者の加治佐俊一氏、右はスペシャルゲストのアクネス・チャン氏

Innovation Awardは、「起業家・ベンチャー企業のアイデアからビジネス化の実現、グローバルビジネス展開への支援を目的に、優秀なソリューションに対して表彰を行うアワードプログラム」。応募は、マイクロソフトテクノロジーを利用したソリューションを提供していることが条件で、最優秀賞の受賞者は、今年8月に開催された「Tech・Ed 2010 Yokohama」の参加者約3000名と、マイクロソフトの従業員約3000名による投票結果を参考に選出された。

最優秀賞を獲得したイノテックは、レントゲン画像から変形性膝関節症を全自動で診断するソフトウェア「KOACAD」を提供する企業。KOACADは、東京大学医学部附属病院と共同で開発したソフトウェアで、レントゲン画像をアップロードして「自動処理」ボタンをクリックするだけ、ひざの軟骨がどの程度劣化しているのかを数値化することができる。また、1万人のデータを基に診断基準値が作成されており高い信憑性も備えるほか、患者に見せることができるレポートを出力する機能も搭載。さらには、閾値を設定しておき、患者の病状を自動で判定するといったことも可能になっている。

KOACADのレポート出力機能のスライド。表彰式の前に行われた、最優秀賞候補企業5社によるプレゼンテーションの模様

イノテック 代表取締役社長の伊藤賢治氏は、KOACADの開発経緯について、「広島工業大学から特許を購入して工業用アプリケーションを開発/提供していたところ、医療分野の特許を持つ東京大学医学部附属病院から連絡をもらい、アプリケーション開発の相談を持ちかけれた。当時、東京にはここまでの技術があるのかと、カルチャーショックを受けたのを覚えている」とコメント。さらに、「KOACADは1クリックで診断結果が出るアプリケーションで画面が1つしかないので、Innovation Awardの応募にあたってはアピールする材料が少なく、説明資料を作るうえで苦労した」といった話も披露した。

マイクロソフトは今回の投票結果を振り返り、「イノテックは、Tech・Ed参加者、マイクロソフト従業員の双方において圧倒的な支持を得ていた」と説明。ただし、「Innovation Awardのレベルが年々高くなっており、今回も優秀作品に選出されたのはどれも技術的に優れたものばかりだった」と述べ、「イノベーションがテーマのアワードだったのでイノテックが選ばれたが、マイクロソフトが行っている違うテーマのアワードであればまた違う結果になっていたかもしれない」と総括した。

なお、優秀賞に輝いたのは、以下の4社。

  • イータイピング : 無料のタイピング練習サイト「イータイピング」を提供
  • スカイアークシステム : PCブラウザ、国内携帯電話、スマートフォン向けのWebサイトを簡単に構築できるCMS「MTCMS」を提供
  • ステップワイズ : シンプルな機能と高い拡張性が特徴のSaaS型販売管理システム「VENTA for Silverlight」を提供
  • ゼブラル : 財務情報向けのマークアップ言語「XBRL」を使って、国内企業約3800社の企業データ/レポートを提供

最優秀賞を受賞したイノテックには記念のトロフィーと賞金100万円が贈られた。