シャープは12月1日、新型太陽電池の開発に成功したことを発表。2011年3月までに堺工場(グリーンフロント 堺 太陽電池工場)で量産を開始する。
今回同社が開発した新型の太陽電池は「高効率単結晶シリコン太陽電池モジュール」と呼ばれ、従来の太陽電池と異なり、表面(受光面)に電極のない「バックコンタクト」と呼ばれる構造になっていることが大きな特徴。受光面積が広がったことで従来よりも光を採りこむ能力が約5%向上しているという。
また、正孔(結晶中の電子が欠落した穴。正の電荷を持つ電子のように振る舞う)と電子の再結合を防ぐ「再結合防止膜形成技術(パッシベーション)」によって電圧出力の向上が図られているほか、全面電極実装技術(配線シート方式)が採用されたことで電気抵抗を低減。これらの技術によってモジュール変換効率17%台を達成し、「将来的には20%の変換効率を目指す」(同社 常務執行役員 大西徹夫氏)とされている。
この高効率単結晶シリコン太陽電池モジュールの年間生産能力は200メガワット(第一次展開)で、投資額は約150億円。
主として住宅用途としての展開が見込まれるが、大西氏は「用途は限定せず、引き合いに応じて販売していきたい」とし、モジュール変換効率の高さなどを中国メーカーとの差別化要素として位置付け、国内外で拡販していく考えを示した。