国立天文台ALMA推進室の井口聖准教授が率いる研究グループは12月1日、衝突直前の2つのブラックホールを初めて観測することに成功したと発表した。
これまでの研究で、活動性が高い銀河中心核(活動銀河核)の中心に太陽の数十億倍程度の質量を持つ巨大なブラックホールが存在することがわかってきている。近年は、さらにこの中心に2つ(3つ以上も有り得る)のブラックホールが存在する可能性が示唆されている。
同研究チームは2003年に巨大楕円銀河・電波銀河3C66Bの中心核の公転運動を観測することで、この中心に2つのブラックホールが存在することを世界で初めて発見した。
その後同研究チームは、野辺山宇宙電波観測所のミリ波干渉計とフランスとドイツが共同で運用するIRAM観測所のPdBI干渉計を用いて詳細な観測を行い、その2つのブラックホールがあと500年程度で衝突することを突き止めた。
今後は、現在建設中のアルマ(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)を用いてより高精度な観測を実施して合体直前のブラックホールの振る舞いを詳しく調べ、「さらなる巨大なブラックホールの誕生の過程」、「その誕生(衝突)の過程で放射されると予言されている重力波との関係」を解き明かしていく。