Micrel Semiconductorは11月30日、次世代プログラマブル・クロックシンセサイザ「Micrel ClockWorks Flexファミリ」として第1弾製品「SM802xxx」を発表した。すでに量産出荷を開始しており、単価は1000個ロット時で5.10ドルからとなっている。

同製品は、高速有線や無線通信、ならびにネットワーク機器を対象としており、製品ラインアップとして16/24/44ピンのQFNパッケージオプションを用意。最大8つの差動またはシングルエンド出力クロックをサポートしながら、カスタマが定義したタイミング要件に対応することで、適切なサイズのソリューションを提供することができるようになっている。

ネットワークに接続する機器は、基幹系から携帯機器まですべて帯域幅の拡大が求められている

Micrel SemiconductorのSenior Director,High Bandwidth ProductsであるRami Kanama氏

また、電源ノイズ除去比(PSRR)の低減や100fs以下の低ジッタの実現が可能となる独自技術「RotaryWave」を採用。LCを活用した発振技術であり、差動伝搬線路をループ上に形成し、ループのつなぎ目をメビウスの輪のように半ひねりして接続することで、寄生容量の電力損失(CV2f)に依存せずに、出力を伝搬線路上のどこからでも取り出すことが可能となる。さらに、0.18μm CMOSプロセスを用いて製造可能なため、コストも低く抑えることが可能で、「低コストな20MHz程度の水晶振動子を入力側に用い、最大840MHzまでの出力周波数を発生させることが可能としながら、競合技術に比べてホワイトノイズから受ける影響などを抑えることに成功している」(同社Senior Director,High Bandwidth ProductsのRami Kanama氏)という。

独自技術「RotaryWave」の概要と競合技術との比較

加えて、ヒューズベースのOTP(One-Time Programming)により構成されるため、マスク製作を不要とすることが可能。そのため、「当社のWebサイトにClockWorks Flex WebToolと呼ぶツールを用意。入力などの必用な情報を書き込むだけで、最適なパッケージが選択され、それを確認、そのまま我々に発注してもらえれば、数日以内に製品を届けることが可能となる」(同)とする。

ClockWorks Flex WebTool(左)を用いると簡単に、必要とする性能を持ったデバイスを注文することが可能となるという

なお、同社では、同ファミリの投入により、ネットワーク機器など対象ソリューション上で使用可能となる同社デバイスの数が増すことから、「1枚の基板あたり2009年までは40ドルだったものが、2010年以降は70ドルとなることから、さらなる事業の拡大が望める」と期待を寄せている。

基板上に搭載できる製品が増加することで、1枚あたりでMicrelが期待できるトータルデバイス価格も向上することとなる