マイクロソフトは11月25-26日の2日間、東京都港区のザ・プリンス パークタワー東京にて同社の最新技術を紹介するカンファレンス「The Microsoft Conference + Expo Tokyo」を開催している。
マイクロソフト 代表取締役社長 樋口泰行氏 |
カンファレンスの中心テーマは、マイクロソフトがいま最も力を入れている「クラウド」。各セッションでは、同社が描く次世代のITシステム像や、ここ最近、相次いで発表されているクラウド関連のサービス/技術が多数紹介されている。
本稿では、マイクロソフト 代表取締役社長の樋口泰行氏らにより同社のビジョンや技術の概要が紹介された初日のキーノートの模様をごく簡単に紹介しよう。
クラウドへの真剣な姿勢を強くアピール
「マイクロソフトがクラウドに対していかに真剣に取り組んでいるのか、それをお伝えするのが今回のカンファレンスにおける一番の目的です」――樋口氏によるこのような挨拶でカンファレンスは幕を開けた。
ここ1カ月だけでも、「Microsoft Office 365」や「Hyper-V Cloud」、「Microsoft Lync」など、数多くのクラウド関連サービスを発表を行っているマイクロソフト。カンファレンス当日も「Dynamics CRM Online」を発表するなど、クラウド向けサービスメニューの整備を急ピッチで進めている。
初日のキーノートではそれらの新サービスがデモを交えて紹介された。
Excelがデスクトップアプリと同様に扱えるOffice 365
最初に紹介されたのは、Office 365である。同サービスは、Officeソフトのオンラインサービス「Office Web Apps」、コラボレーションサービス「SharePoint Online」、メール/カレンダーサービス「Exchange Online」、ユニファイドコミュニケーション「Lync Online」を一体化したクラウドサービス。「Business Productivity Online Suite」、「Office Live Small Business」、「Live@edu」といったサービスを置きかえるものとして発表されている。
キーノートでは、デスクトップ上のExcelファイルをOffice 365にアップロードし、Webブラウザから通常のExcelと同じように編集できる様子を披露。さらに、アップロードしたExcelに2人のユーザーが同時にアクセスし、一方が編集した内容が他方の画面で即座に更新されることも示したうえで、Windows Phone 7やスレートPCなどからも同じように操作できる点も説明された。
Office 365上のExcelファイルに2ユーザーが同時にアクセスしたときの様子。左右の画面では異なるユーザーが異なるPCからアクセスしている。編集することも可能で、変更内容はリアルタイムに反映される |
ローカルファイルへのアクセスも許可できるMicrosoft Lync
続いて披露されたのはMicrosoft Lyncだ。Microsoft Lyncでは、チャット機能やビデオ会議機能、プレゼンス機能などを搭載しており、さまざまな関係者と手軽にコミュニケーションがとれるが、そのほかにも、PC上のファイルへアクセスさせる機能も用意されているという。
デモでは、展示ブースにいるマイクロまいこさんとビデオ会議機能で会話をした後、マイクロまいこさんにデスクトップ上のExcelファイルへのアクセス許可を付与。マイクロまいこさんが展示ブースエリアから基調講演会場のPCにアクセスし、Excelファイルのデータを書き換える様子が披露された。
Microsoft Lyncで遠隔地にいるマイクロまいこさんとビデオ会議した後、デスクトップ上に置いてあるExcelファイルへのアクセス権をマイクロまいこさんに付与し編集してもらったときの様子。Excel上のL4セルが変更されている |
OutlookとCRMが連携すると、こんなに便利に
さらに、キーノートではDynamics CRMのデモも行われた。
デモでは、Dynamics CRMの画面をマウス操作で自由にカスタマイズできるうえ、Microsoft Outlookと連携させて、メールの宛先に含まれる企業の取引履歴などをクリック1つで呼び出せることも紹介。さらに、XMLデータなどのインポート機能も備え、Salesforce.comをはじめとする外部サービスからの移行も簡単に行えることが示された。
また、Dynamics CRM Onlineに関しては、帝国データバンク 常務取締役の鈴木亮平氏を招き、同社が保有する企業概況などのデータをDynamics CRM Onlineから閲覧できるようにすることも発表。そのほかにもさまざまなパートナーと協力してサービスを拡充していく方針であることも明かした。
パートナー企業、ユーザー企業、合わせて8社も登壇
このほか、ビジネス分野ではパートナー経由での販売を重視しているマイクロソフトらしく、キーノートには多くのパートナー企業が登壇。プライベートクラウド構築を推進する「Hyper-V Cloud」プログラムなどをともに展開していくことなどが解説された。
オンプレミスの分野で圧倒的なシェアを誇るマイクロソフトが、クラウド市場でどのようにシェアを伸ばしていくのか。同社の今後を楽しみにしたい。