ネットアップ、クラウド向け基盤を見据え専用OSやストレージなど大幅刷新

ネットアップは11月18日、クラウドコンピューティング時代のストレージ基盤となる共有型ITインフラへの移行を踏まえ、ストレージ専用OS「Data ONTAP 」やストレージ製品など、既存の製品ラインアップを大幅に刷新したと発表した。

代表取締役社長のタイ・マッコーニー氏は、日本におけるITのトレンドとして、「ITオペレーションのコスト」、「海外でのオペレーションの拡大」、「仮想化の促進」、「効率性向上に対するニーズの増大」などを挙げた。

「日本企業がグローバルで勝つためには、ITをできるだけシンプルにする必要がある。われわれはストレージアーキテクチャは単一であり、エントリーからハイエンドまで同じアーキテクチャで稼働する。これこそ、今の日本企業が求めているものだ」

今回、ストレージ専用OS「Data ONTAP」のバージョンアップが行われたほか、ミッドレンジストレージ「NetApp FAS3200シリーズ/V3200シリーズ」、ハイエンドストレージ「NetApp FAS6200シリーズ/V6200シリーズ」、「NetAppソリッド・ステート・ドライブ(SSD)」、「NetApp SASディスクシェルフ」、管理ソフトウェア群「NetApp OnCommand」、FlexPodモジュラーデータセンター・ソリューションが新たに発表された。

これらの詳細については、米ネットアップ CTOのヴァル・バーコヴィッチ氏が説明を行った。同氏は製品説明を行う前に、「企業では現在、サーバ、ネットワーク、ストレージが効率よく利用されておらず、コストが増加している。この問題を解決するには、これらのインフラを共有で用いる環境"共有ITインフラ"が必要」と指摘した。「共有ITインフラ」を実現するために発表されたのが、今回の新製品群というわけだ。

Data ONTAPは「8.0.1」にバージョンアップされ、「Data Compression」「DataMotion for Volumes」「Unified Connect」が新たに追加された。Data Compressionはデータ圧縮機能で、重複排除機能と併用することが可能。DataMotion for Volumesはダウンタイムゼロでデータボリュームの移動を実現する機能だ。同OSの新機能のいちばんの目玉と言えるUnified Connectは、1本のケーブルでFCoE/NFS/CIFS/FC/iSCSIという標準的ネットワークプロトコルをすべてサポートする。

同氏は新たに発表されたストレージの2つのシリーズについて、「最近、ストレージベンダーの買収が相次いでいるが、ヒューレット・パッカードによる3PARの買収はSANのスケールアウトを狙ってのもの、また、EMCによるアイシロンの買収はNASのスケールアウトを狙ってのもの。今回発表したストレージの新シリーズはこうした両者の動きを意識したものだ」と説明した。

ハイエンドモデルの「FAS6200シリーズ/V6200シリーズ」がNASのスケールアウトを実現し、ミッドレンジモデルの「FAS3200シリーズ/V3200シリーズ」がSANのスケールアウトを実現する。FAS6200シリーズ/V6200シリーズは現行のFASシステムの2倍のパフォーマンス、最大2.9ペタバイトの容量、2倍以上PCIeスロット数を搭載する。FAS3200シリーズ/V3200シリーズはI/Oが2倍に拡張されている。

価格はFAS3200シリーズの最小構成が794万6,000円、FAS6200シリーズの最少構成価格が 2333万8,000円となっている(税抜)。

NetAppSSDはFlashメモリを用いたストレージ高速化モジュール「Flash Cache」に並ぶ製品と位置づけられる。NetAppSSDはすべての読み込み処理が高速である必要場合などに適しており、ミッションクリティカルなアプリケーションのデータベースでの利用が考えられる。Flash Cacheはアクセスが集中するデータが不明または動的な環境などに適しており、サーバとデスクトップの仮想化やファイルサービスなどに適している。同氏は、「NetAppSSDとFlash Cacheは用途に応じて使い分けられるが、Flash Cacheのほうが効率がよい」と述べた。

NetApp OnCommandはこれまで既存の管理製品をパッケージ化したもの。「特に、クラウドコンピューティングにおいて重要な自動化のための機能が強化されている」と同氏。