STMicroelectronicsは、特許取得済みの高効率回路と最適化した専用パワーデバイスの技術「BC2(Back-Current Circuit)」を発表した。同技術は、コスト低減を実現すると同時に、高い電力効率基準に準拠した設計を可能とするもので、太陽電池インバータやコンピュータ/通信機器のスイッチング電源で通常使用されるパワー・デバイスであるブースト・コンバータまたはバック・コンバータとして活用が可能となっている。
電力効率や電力品質を管理する規制では、多くの主電源機器に対して、力率補正(PFC)回路の内蔵による電力損失と歪みの最小化を求めている。これらのPFC回路は、通常、パワーMOSFET、整流ダイオード、インダクタおよびコンデンサを搭載しており、従来は、整流ダイオード用SiCなどの高価な技術により、「80 Plus Bronze / Silver / Gold」などの高水準な電力効率規格への準拠を目指していた。
BC2は、太陽電池インバータもしくはデスクトップPC、サーバ、通信基地局などのスイッチング電源に内蔵されるブースト・コンバータまたはバック・コンバータに、SiC製品よりも安価なSiダイオードを使用することが可能となる技術。SiCブースト・ダイオードの低回復電流がMOSFETのスイッチ・オン損失の最小化に有効である場合、BC2はこれらの損失を完全に除去し、ブースト・ダイオードの回復に関連したエネルギーを再利用する。標準的な回路に比べて、この新しいトポロジでは、1個のインダクタの追加と3個の最適化されたダイオードが必要となるが、SiC製品を使用したソリューションの約半分の価格で、2%の効率向上が可能となる。
また、同社は、新しい電源設計において、BC2の実装を可能にするため、最適化したSiベースの600V/650V整流ダイオード「STTH8BC060D/STTH8BC065DI/STTH10BC065CT/STTH16BC065CT」(定格電流:8A/10A/16A)および600Vフリー・ホイール・ダイオード「STTH3BCF060U/STTH5BCF060」(定格電流:3A/5A)6製品を発表した。
これらのダイオードをキット単位で活用することで、カスタマは最高2kWの高効率回路を設計することが可能となる。STでは、この新しいトポロジの全面的な設計サポートを提供することで、最大限の能力と効率を実現する設計に貢献していきたいとしている。なお、8Aキットの単価は、1,000個購入時に約1.70ドルとなっている。