リバーベッドテクノロジー 代表取締役社長 岡本吉光氏

リバーベッドテクノロジーは11月15日、パブリッククラウド環境専用に設計したWAN最適化ソリューション「Riverbed Cloud Steelhead」と、バックアップやディザスタリカバリにおけるクラウドストレージのパフォーマンスを高速化する「Riverbed Whitewater」を発表した。同社 代表取締役社長 岡本吉光氏は「爆発的な勢いで拡がっているパブリッククラウドだが、エンタープライズでの利用を妨げている要因が2つある。それはセキュリティとパフォーマンスへの不安だ。今回発表する2つのソリューションはWAN最適化によってこれを解決し、すべての企業のグローバル進出を支援する製品」と語る。

Cloud Steelheadは、Amazon EC2などのパブリッククラウド、またはバーチャルプライベートクラウド(VPC)に統合して利用する、クラウドアプリケーションの高速化ソリューション。通常、ローカル環境のデータにアクセスする場合に比べ、パブリッククラウド上のデータにアクセスする場合では、約20倍の遅延が発生するという。このパフォーマンスの低下を、パブリッククラウドにWAN最適化を統合することで防ぐのがCloud Steelheadだ。顧客のサーバがどこに設置されていても、また、IPアドレスやサブネットが変更された場合であっても、それがWAN最適化を認証されたものであるならば、パブリッククラウドとのシームレスな通信が可能になる。顧客は事前ソフトウェアの設定や追加製品購入の必要はなく、クラウド上でCloud Steelheadを利用する旨を申し込むことで、料金モデルに沿った月極め料金でこれを利用できる(最低契約期間は6カ月)。現在、Cloud Steelheadを利用できるパブリッククラウドはAmazon EC2のみだが、今後は適用範囲を拡げていく方針だという。

パブリッククラウドに統合するかたちで利用することで、最適化(高速化)をはかるCloud Steelhead

リバーベッドテクノロジー マーケティング部 マネージャー 伊藤信氏

もうひとつのWhitewaterは、データのクラウド移行を高速化するアプライアンス。EMC Atmos、AT&T Synaptic Storage as a Service、Amazon S3などの主だったクラウドストレージ環境に対応し、重複排除、データの暗号化(256ビットAES+SSL v3)を実施、高速で安全なデータ移行を実現する。企業はこれにより既存のバックアップインフラやディザスタリカバリサイトに、コストパフォーマンス効果の高いクラウドストレージを統合して利用することができる。データの移行だけでなく、復旧のスピードも高速化されているため、クラウドからのデータ復旧も大幅な時間短縮が可能になる。「顧客は複数のクラウドソリューションの中から好みの環境を選択でき、また、Symantec NetBackup、IBM Tivoliなどのバックアップ製品にも幅広く対応しているので、既存の環境とのシームレスで拡張性の高い統合が可能」(リバーベッドテクノロジー マーケティング部 マネージャー 伊藤信氏)

「クラウドコンピューティングは1年前に比べて確実に浸透してきた」と伊藤氏。「1年前は"クラウドって何?"というお客様が圧倒的に多かった。それが今では"クラウドってどうやったら速くなるの?"という質問に変わってきた。お客様は明らかに高速なクラウド環境を求めている」(伊藤氏)という。リバーベッドのSteelheadはすでにWAN最適化ソリューションとして、全世界の市場で多くの導入実績を誇る。今回発表の2製品はSteelheadの資産をベースに"速くて安いクラウド環境"をより多くの企業で利用可能にするものだと同社は自信をみせる。

Riverbed Cloud Steelhead、Riverbed Whitewaterともに2010年度第4四半期に発売予定となっている。