米Facebookは11月15日(現地時間)、コミュニケーション機能「Messages」の新サービスを明らかにした。電子メールやテキストメッセージ、チャットなど異なるコミュニケーションをMessagesにおいて一元管理できるようになる。これに伴い同社は、電子メールの受け口となる「@facebook.com」ドメインの電子メールアドレスをFacebookユーザーに用意した。

新しいMessagesは、世代間のコミュニケーション方法の違いに起因するコミュニケーションの断片化の解決を目指している。40代以上は電子メールをひんぱんに利用するが、ティーンエイジャーは面倒で反応が遅い電子メールを嫌う。米国の高校生の主要なコミュニケーションツールはテキストメッセージだ。大学生以上から20代、30代ではSNSの活用が広がっているが、SNSはサービス内のコミュニケーションに制限される傾向が強い。実際の生活では世代を超えたコミュニケーションも行われており、その結果、電子メール、SNS、携帯電話に、それぞれコンタクトとコミュニケーションの履歴が存在することになる。これでは過去のメッセージを見つけ出すのも一苦労だ。それを新しいMessagesは1カ所に統合する。@facebook.comの電子メールアドレスは、Facebookメンバーではない電子メールユーザーからのメッセージをMessagesに取り込む入り口になる。「電子メールユーザーとはやり取りしない」というFacebookユーザーもいるから、現時点でユーザー名@facebook.comの電子メールアドレスの提供は希望者のみだ。

コミュニケーションをMessagesにまとめ上げるメリットは、Facebookが人のつながりを反映したサービスであるという点だ。電子メールやテキスト、メッセージなどコミュニケーション手段が何であれ、Messagesでは友だちごとにこれまでのやり取りが時系列で表示され、すばやく過去のメッセージを検索できる。また、登録されている友だち以外からのメッセージは「その他」に分類するというように、Facebookの友だち関係をベースにした効率的かつ正確なメッセージのフィルタリングが可能になる。Facebookは、これを Social Inboxを呼んでいる。

Messagesでは人と会話を中心にメッセージが表示される

Messagesでのコミュニケーションはチャットや会話に近い。件名などは入れずに、会話を始めるようにメッセージをやり取りする。Messagesが電子メールを取り込むことで電子メールユーザーとのやり取りが増えるが、Messagesから外部の電子メールアドレスへのメッセージは、名前やプロフィールの写真などを含むFacebookメッセージ型のメールになる。

ここ数日FacebookがGmailキラーを発表すると話題になっていたが、同社はMessagesが電子メールに対抗するようなサービスではないと強調している。実際、電子メールのすべての機能をMessagesが備えているわけではない。Messagesは今日の電子メールの代わりにはならない。ただソーシャルグラフをベースにしたMessagesの方が、親しい人とのやり取りには電子メールよりも便利に思える点が多々ある。外部とのコミュニケーション方法が用意されたことで、Facebookユーザーはより長い時間をFacebookに費やすだろう。電子メールキラーではないが、今回の機能刷新でMessagesがコミュニケーションの主役の座を狙っているのは明らかだ。