Next WindowのMarketing Evangelist&Industry GuruであるGeoff Walker氏 |
光学式タッチスクリーンの開発・提供を行うNextWindowは11月10日、日本オフィスを開設したことを明らかにしたほか、将来技術に関する方向性を公開した。
同社はニュージーランドに本社を置き、中国、タイ、マレーシアの受託製造メーカーで生産を行っている光学式タッチスクリーンベンダ。Windows 7搭載PCのコンシューマ向けモニタおよびall-in-oneコンピュータ向けタッチスクリーン市場と、広告用/教育用の大型ディスプレイアプリケーション向けタッチスクリーン市場を中心にビジネスを行っており、「デスクトップPC向けが90%、大型タッチスクリーンが10%という売り上げ比率」(Next WindowのMarketing Evangelist&Industry GuruであるGeoff Walker氏)とする。
PC向けタッチスクリーンのサイズは15~30型で、主にPCのOEMもしくはODM企業に向けた直接提供のビジネスを中心に展開している。また、インタラクティブ情報用大型タッチスクリーンのサイズは30~50型が中心で、大量購入の場合はモニタベンダに直販、少量購入の場合はインテグレータを介しての提供となる。教育&会議用のサイズは50~120型で、こちらはインテグレータを介しての提供、そして大型オーバーレイのサイズは32~85型で、販売代理店を介しての提供となる。
日本オフィスが開設されたのは2010年6月。カントリーマネージャーには平山浩司氏が就任している。日本オフィスを開設した理由をWalker氏は、「多くのPCベンダと大型ディスプレイモニタベンダが存在するほか、大型ディスプレイのインテグレータも多く存在する」ことを指摘、台湾や韓国と並ぶ重要な市場であることを強調した。ちなみに、市場規模としては、やはりODMやOEMメーカーが多い台湾が1位で、PC OEMメーカーやディスプレイメーカーが多い日本が2位、そして韓国が3位という比率という。
そのタッチソリューションの市場は年々拡大することが見込まれており、2009年には20億ドル超だったものが、2010年には60億ドル超、2015年には120億ドル超にまで成長することが予測され、中でも同社が提供する光学式タッチセンサ技術は2016年でタッチソリューション市場全体において第4位の市場規模に成長することが見込まれている。
同社の光学式タッチ技術は1枚のパネルあたり2つのレンズ付きCMOSリニア・イメージセンサを用いて、2つの赤外線光源から照射される赤外線と反射板の間の物体の動きを光学システムにより検出し、タッチを認識する。現在の製品には第4世代カメラが搭載されており、高さ3.6mmもしくは2mmの2種類のコンポーネントで提供され、ガラス(厚さ2mm)と合わせても5mm程度の厚さでタッチ機能をモニタに追加することが可能となる。
「光学式は他の方式に比べてさまざまな強みがある。例えば、SAW(soft touch-object)のような圧力を加える必要もないため、指先だけでなく、スタイラスや筆、カードなどで触れるだけで認識される」ということに加え、タッチするオブジェクトの大きさに認識やLCDパネルそのものに加工する必要がないほか、Windows 7の要求事項にも対応している。加えて、EMIやRFIに対する反応がないほか、「反射板のサイズを大きくするだけで大型化に対応できるため、赤外線方式などに比べて低いコストでの提供が可能となる」と説明する。
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30型以上の大型向けとしては、3製品を提供している。1つ目は「2500プロファイル・タッチ」で、大量生産のOEMアプリケーションをターゲットとしたシリーズとなっている。キットもしくはon-glass型により、30型から50型までのモニタに対応する。
2つめは「2150プロファイル・タッチ」で、少量生産の大型ディスプレイ統合コンポーネントとなっており、標準サイズは30型~120型まで対応し、キットは全サイズに、on-glass型は50型までに
3つ目は「2700オーバーレイ・タッチ」で、既存のモニタに追加して活用するモデルとなっている。30型~82型まで対応し、
将来に向けた研究開発には4つの重点領域があるという。1つ目は、ディスプレイからタッチスクリーンへは段差がどうしても生じてしまうが、これをゼロに近づけることを目指す研究を行っていくとする。
2つ目は、タッチ機能に3Dの機能を加えるというもの。現在のタッチスクリーンは2Dとして、表面のみをタッチしているが、「3D機能を持たせるには2つの方法で研究を進めている。1つは立体視の物体を動かそうというもの。もう1つは、画面から少し離れたところでジェスチャを認識させること」とのことで、カメラ技術を活用することで、直接パネルに触れなくても操作を可能とするレベルにまで機能強化を図っていくとする。
3つ目は、スタイラスをインタラブティブなホワイトボードでの活用に向けたもので、スタイラスそのものの性能向上を図っていくとする。
4つ目がWindows 8に向けたもの。2012年に登場すると言われているWindows 8では、より多くのタッチ機能への対応が図られるものの、タッチに対する要求性能がより高いところに引き上げられるものと見られており、その対応を図っていくという。
なお、最期に平山氏に日本市場に向けた抱負を伺ったところ、「PC OEMメーカーが日本は多い。そういったところで確実にデザインウィンを獲得していきたい」と語ってくれたが、「ただし、デザインなどもODMのものをそのまま利用するという流れも出てきていることもあり、新しい技術を活用するのが日本は得意なので、そうした次世代に適用できる将来の技術なども提供していきたい」とし、しっかりとPCや家電、パネルメーカーとの関係強化を図っていきたいとした。