エネルギーの利用効率化を目指すソリューションの開発・提供を行う米People Powerは11月10日、都内で会見を開き、エネルギー利用状況の監視・管理を目的としたオープンかつ拡張性のあるエネルギー管理クラウドサービス「Energy Services Platform(ESP)」を発表した。
People Power CEO&ChairmanのGene Wang氏 |
同サービスを提供する背景について、同社CEO&ChairmanのGene Wang氏は、「持続的成長の実現に向け、省エネ化への期待が高まっており、それに合わせて省エネ支援ソリューションビジネスの市場も活性化することが見込まれている。市場規模も2009年は2610億円程度だが、2014年には約1.5倍の3870億円へと成長し、中でも遠隔監視によるエネルギー管理支援サービスが高い成長が期待されるサービスと言われており、年率30%の成長が続くことが期待される」と説明、そうしたグローバルでのグリーン化に向けた取り組みの要となるのが、いわゆるエネルギーの"見える化"と、それをどこでも見ることができる監視技術であることを強調する。
ESPはクラウドベースのサービスで、SaaSとして提供する形と、家電メーカーなどがあらかじめ電気機器にセットアップする形で提供する2つの種類がある。SaaSとして提供される場合は、Amazon.comが提供するクラウドサービスを活用する形での提供となるという。また、オープンなシステムとして提供されるため、ESPで機能が不足していると思われる部分などについては、カスタマ側が自由に追加することなども可能だ。
Wang氏は、「ESPには4つの主な機能が搭載されている」と説明する。1つ目は、「モニタ機能」で、ハードウェアとして提供されるTIのSoC「CC430」を中心とした1インチ角のモジュール「SuRFモジュール」を電気機器に搭載(同社が提供する場合。カスタマによっては違うチップなどでも良いとしている)、秒単位での電力使用量を機器ごとに監視し、ネットワークを介し、その情報をデータセンターに送り、ユーザーはESPの機能の1つである「Energy Advisor」を活用して、その利用状態などを確認したり、あらかじめ設定しておいた金額を超えた場合はアラートを発するといった使い方ができるようになる。
スクリーンの左上の映像がカリフォルニアの同社オフィスに置かれた4台の照明器具。この時点ではすべて消灯している |
Wang氏の手持ちiPad上で、管理アプリを操作し、電源をONにした状態。確かにランプが点灯しているのが分かる |
見えづらい画像で恐縮だが、iPad上の管理用アプリ。それぞれの機器ごとにON/OFFができる |
スクリーン右下の画像は、iPad上で各機器の電力消費をリアルタイムでモニタしている様子秒単位でどれくらい消費しているのかを知ることができる |
2つ目は、SuRFモジュールによる機器の制御。SuRFモジュールは900MHz帯を活用したOSIAN(Open Source IPv6 Automation Network)に対応しており、IEEE802.15.4g(Smart Utility Networks:SUN)などの標準規格に準拠している。また、Wi-FiやZigBeeなどとも連携でき、ESPと連動することで、手元のスマートフォンなどのブラウザから遠隔地における電気機器などのON/OFFや温度調整といった制御を行うことが可能だ。すでにSuRFモジュール向けSDK「SuRFキット」の提供が2010年3月より行われているほか、同モジュールも2011年第1四半期中には量産出荷される予定となっている。
3つ目は、比較機能。各所、各機器からデータセンターに集められるデータを比較することで、例えば家の中のリビングの液晶テレビとベッドルームの液晶テレビの消費電力を比較したり、隣の家と自分の家ではどの程度電力使用量が異なっているのかを比較したり、州や県、国別といった単位での比較が可能となっている。また、それらのデータを用いた分析やレポートといったことも可能となっている。
4つ目は、コンテスト機能で、Facebookと連動して、無駄な電力をどの程度削減できたのかといったグラフなどを活用したコンテストなどを開催することが可能で、これによりユーザーのやる気の継続などを促すことが可能とする。
「我々がターゲットとするのは家電機器とOA機器であり、日本には多くの企業が存在する」ということで、日本企業に向けたアピールを行っていくとするほか、すべてのネットワーク規格に対応を図っていくとしており、電力管理ソリューションの普及を図っていきたいとした。