パナソニック液晶ディスプレイは、11月10日、兵庫県姫路市の同社姫路工場において開所式を開催した。同工場は、2010年4月からIPS液晶パネルの生産設備を稼働させていたが、10月1日付けでIPSアルファテクノロジから社名変更を行ったことを機に、このほど開所式を行った。
パナソニック液晶ディスプレイ姫路工場で行われた開所式の様子 |
関係者によるテープカット(動画はこちら) |
パナソニックの大坪文雄社長は、「液晶パネルは、高度なプロセスが必要とされる一方で、激しい価格競争が起きている代表分野。日本で生産するパナソニックにとって、決して恵まれた環境にあるわけではない。しかし、需要の拡大ぶりには大きなものがあり、パナソニックは液晶とプラズマを両輪にしてテレビの発展に貢献したい」と挨拶。「2018年度にエレクトロニクスナンバーワンの環境革新企業を目指すなかで、テレビは最重要製品のひとつ。家庭のエネルギーをコントロールする中核になるのがテレビ」と位置づけた。
また、株主挨拶として、日立製作所の川村隆会長が登壇。「パナソニックとは長年に渡り、コンシューマエレクトロニクス分野において共同で研究開発を行ってきた。姫路工場の開所式にあたり、大規模な最新鋭の工場に対して敬意を表す。日本のモノづくりの見本となるように、世界で勝ち抜いてもらいたい。日立製作所は、テレビ用IPS液晶パネルの供給を受けるほか、さらに磨きをかけるための研究開発に貢献したい」と語った。
さらに来賓の挨拶として、経済産業省 商務情報政策局 審議官の富田健介氏が「日本のモノづくりの環境は厳しいが、日本国内に優れた技術を持つ企業が踏みとどまり、雇用を確保することは大きな課題である。世界最先端の姫路工場では、すばらしい性能を持った液晶パネルを生産し、このパネルは視野角、動画性能、省エネにも優れている。アジア、新興国市場にも打って出るのに相応しい製品だと思っている。厳しい国際競争を勝ち抜いてもらいたい」と挨拶。兵庫県の井戸敏三知事は、「今日の日を心待ちにしていた。姫路工場とともに、パナソニックは尼崎にプラズマディスプレイパネルの工場を稼働させており、兵庫県内の2つの工場が世界のテレビ市場をリードすることになる。日本の企業は技術で勝負することが求められており、先端技術を開発することが不可欠。姫路工場の機能に期待しており、兵庫県としてもモノづくり県としての改革を推し進めていく」と語った。井戸知事は、この日のために用意した歌を披露。「瀬戸内に 臨む拠点ぞ 今 成れり 生活創る 生産始まる」と詠んだ。
さらに、姫路市の石見利勝市長は、「戦後直後には、この地に富士製鐵(現 新日本製鐵)が進出し、日本の経済復興の拠点となった。パナソニックの姫路工場の発展にも期待している。パナソニックの将来を支援するために、姫路市は道路、鉄道、高速道路、港といったインフラの整備に取り組み、姫路市の関係機関のテレビはすべてパナソニックに置き換えた」などとした。
一方、パナソニック液晶ディスプレイの鈴木茂人社長は、「2011年2月には月産81万台(32型換算)を目指す。IPS液晶パネルは、高透過率、高視野角、高速応答性を兼ね備えたパネルであり、さらなる省エネと高性能を両立を目指す。これからも驚きと感動を与えるパネルを生産していく」とした。