NECは11月5日、薄型フレキシブルな特長を持つ有機ラジカル化合物を電極活物質に用いた電池「有機ラジカル電池」において、従来の課題だった信頼性を向上するとともに、出力を従来比1.4倍に向上させ実用レベルを実現したことを発表した。
今回開発された新たな有機ラジカル電池は、電極の負極部分にリチウムイオン電池と同じ炭素材料を採用することで、従来比約1/10の低コスト化の実現と、フル放電とフル充電を繰り返す充放電サイクル試験において、市販のリチウムイオン2次電池並みの信頼性を実証した。
また、電極の正極部分に用いる固体の有機ラジカル材料を、新たにゲル状にして炭素材料と均一に複合化することで、より高い導電性を持つナノ複合電極を開発。これにより、電池単位あたりの出力を容量5mAhタイプで、従来比1.4倍の7kW/Lの出力を実現できる電池を実現した。
同社では同技術を用いて薄さ0.7mmの500円玉サイズ(容量5mAh)の有機ラジカル電池を試作。試作した電池を活用した場合、10回以上の連続フラッシュ発光を約2万回行えるなど、小型2重層キャパシタでは難しかった高輝度LEDフラッシュの連続発光が可能となることが確認できたほか、フレキシブル性と高い出力が求められる高機能ICカード、ウェアラブル端末、フレキシブル電子ペーパーなど次世代ユビキタス端末への応用も可能となるとの見方を示している。