モバイル向けプラットフォーム「Symbian」を提供する非営利団体Symbian Foundationは11月1日、次世代の組み込みOS「Symbeose」プロジェクトを発表、欧州連合(EU)およびSymbeoseを支援するコンソーシアムより総額約2200万ユーロの資金を受けることを発表した。Symbianはこのところシェアが縮小しており、Symbianの競争力維持のための救済とみる向きもある。
Symbeoseは「Symbian--the Embedded Operating System for Europe」の略。Symbeoseは今回、欧州中心のモバイルソフトウェア開発にフォーカスしたユニークな技術と認められ、EUが支援する組み込み向け官民共同イニシアティブARTEMIS Joint Technology Initiative(JTI)の支援を受けることが決定した。EUは2006年、ARTEMISに7年間で30億ユーロを投資するとしており、SymbeoseはARTEMIS支援プロジェクトとして約1100万ユーロの支援を受ける。
同時に、欧州8カ国24の企業や組織で構成されるSymbeose支援コンソシアムより、1100万ユーロを調達する。これには、Symbianを利用するフィンランドNokia、ST-Ericssonなどの企業や組織が含まれている。
SymbeoseはSymbianの次世代プラットフォームで、将来のモバイルサービスを支えるコアプラットフォーム機能を開発する。電力効率などSymbianが現在提供する機能や特徴を改善し、非対称マルチプロセスなど最新技術に向けた最適化も含む予定だ。これに加え、クラウドコンピューティングのコンセプトも取り入れるとしている。
Symbianは米Googleの「Android」や米Appleの「iOS」などにシェアを奪われており、サポート方針を変更する端末メーカーも出て生きている。先月はエグゼクティブディレクターが辞任しており、今回のEU支援プロジェクトからの援助について、地位を維持するためとみる向きもある。なお、資金は直接Symbian Foundationに向けたものではない。