日本オラクルは11月4日、同社のパートナープログラム「Oracle ParnterNetwork Specialized」の中核となる新認定制度「Specialization」をスタートさせたことを発表した。オラクル製品におけるパートナーの専門性やビジネスでの実績を評価し、顧客のパートナー選定時に重要な指針となる認定制度で、すでにNEC、富士通、日立製作所など8社が取得を開始している。
Specializationは米Oracleでは2009年12月から始まった制度で、パートナーの専門性を製品/カテゴリごとに、Oracleが公式に認定するもの。米国では「Oracle Database」「Oracle RAC」などのデータベース製品、「Oracle E-Business Suite」「PeopleSoft Enterprise Human Capital Management」などの業務アプリケーション、「Oracle Essbase」「SOA」「Java」などのミドルウェア、さらには旧Sun製品の「Solaris」「SPARC」など、合計51の分野での認定が開始している(一部準備中)。
パートナーがSpecialiation認定されるには、ビジネス基準として「顧客の推薦」「ビジネス(案件)実績」、コンピテンシー基準として「スペシャリスト(セールス/プリセールス/サポート/インプリ)保有数」を一定以上クリアする必要がある。認定基準のしきい値はカテゴリごとによって異なり、たとえばOracle Databaseの場合だと、ビジネス基準では顧客推薦5件以上、案件実績7件以上(いずれも毎年再認定)、コンピテンシー基準ではスペシャリスト7名以上の条件を満たすことでSpecialization認定を受けることができる。なお、上記の条件を満たし、さらにインプリメンテーションスペシャリストが50名以上の場合はAdvanced Specializationの認定を受けることができる。
日本オラクル 副社長執行役員 アライアンス営業統括本部長 志賀徹也氏は「ここ2年くらいかけてブラッシュアップを図ってきたOracleのパートナープログラムだが、ようやく日本においてもSpecializationを提供できるに至った。Specializationはパートナーの専門性をオラクルが公式に認定/公開する、グローバルな制度。今後も各パートナーと協力して、顧客に信頼と安心を与えられる付加価値の高いブランドに育てていきたい」と語る。「現在、日本には約1,200社のパートナーが存在し、とくにデータベースに強いパートナーが多い。また日本は米国以上にパートナードライブのビジネスが多く、その重要性は高い。グローバルにおけるSpecialization取得パートナーのうち10%くらいは日本のパートナーが占めてほしいと願っている」(志賀氏)
米Oracleでパートナー・イネーブルメント バイスプレジデントを務めるニック・クリティコス氏は「Specializationはまったく新しいパートナープログラムではなく、従来からのパートナープログラムを顧客、パートナー、そしてOracleの視点から、かつ三方にメリットがあるように整理し直した制度。顧客はソリューションをすみからすみまで熟知していて、ビジネス実績も豊富なパートナーを指名することができ、パートナーは自社の優位性や専門性を訴求することができる。また、Oracleにとってもパートナーの専門性をベースにしたビジネス協業やパートナー支援がしやすくなる」とSpecializedによってパートナーのレベルが可視化されることのメリットを強調する。米国では昨年12月の開始以来、認定スペシャリスト、OPNスペシャリストともに増加し、現在400社のSpecializationパートナーが存在するという。
11月4日現在、日本で提供されるSpecializationのカテゴリは「Oracle Database」「Oracle Real Appicaiton Clusters(Oracle RAC)」「Oracle Database Performance Tuning」「Oracle E-Business Suite Financial Management」「Siebel CRM」の5つ。今後、教材などの日本語化を進め、随時増やしていく予定となっている。なお、以下の国内パートナー8社がすでにSpecialization取得を開始している。
- Oracle Database … 第一コンピュータリソース、NEC(Advanced Specialization)、富士通
- Oracle RAC … システムサポート、NEC
- Oracle Database Performance Tuning … NEC
- Oracle E-Business Suite Financial Management … アクセンチュア、TIS、日立製作所、プライスウォーターハウスクーパース
- Siebel CRM … 日立製作所
発表会ではNEC、日立製作所、富士通の代表者からエンドースメントが寄せられた。
NEC ITソフトウェア事業本部 事業本部長 池田治巳氏 「NECは日本オラクルができる前からOracleと20年以上にわたって製品協業を展開してきた。今回、NECは3つの分野でSpecializationを取得したが、今後もミッションクリティカルな分野でのスペシャリストを育て、オラクルと一緒にビジネスを推進していきたい」とした。
日立製作所 情報・通信システム社 産業・流通システム事業部 エンタープライズパッケージソリューション本部 担当本部長 木村正二郎氏 「日立はオラクル製品の中でもとりわけE-Business SuiteやSiebel CRMの導入を手がけてきたが、基幹業務と一口に言ってもお客様の環境は多岐に渡る。複数の専門領域をもったスペシャリストを育成することでお客様に"あんしん・あんぜん"をお届けし、オラクルと一緒に価値創造を図っていきたい」
富士通 執行役員 インフラサービス事業本部 本部長 飯田春幸氏 「Specializaitonはパートナーの専門性を客観的かつ公けに示す制度で、顧客にとってもたいへん有用なプログラム。富士通はもともとオラクルとのつながりが強かったが、SPARCなど旧Sun製品のビジネスも積極的に展開してきた。今後、Specializationを含めてますます協業を強化していきたい」