デルは11月2日、同社の次世代ネットワークに関する戦略説明会を開催した。米国ではジュニパーネットワークスとブロケード コミュニケーションズ システムズのOEM提携に関する発表が行われているが、国内では初めて3社の提携によって進めるデルのネットワーク戦略と製品のポートフォリオに関する説明が行われた。
米Dellは昨年にJuniper、BrocadeとOEM提携に関する発表を行っているが、国内で両社との提携を発表するのは今回初となる。
デル アドバンスドシステムズグループ ネットワークスペシャリストの草薙伸氏は、同社のクラウドコンピューティングに対するアプローチについて、「他社は自社の利益を優先しており、市場に合わせて顧客に選択を促すとともに、ベンダーロックインを図っている。これに対し、われわれは顧客が有する既存のインフラを有効活用しながら、パートナーと協調することで、顧客の利益を優先した形での製品選択を実現する」と説明した。
同氏はネットワーク分野において今後カギとなる技術として、「データセンター ブリッジング」と「仮想化対応のWAN」を紹介した。
データセンター ブリッジングはFibre Channel over Ethernet(FCoE)をサポートしてLANとSANを統合し、ロスのない10ギガビットのデータ転送を実現する。「今後、3~4年で実用化する見込み」(同氏)だという。また仮想サーバをデータンセンター間で移動する際は、同一サブネット上でノンブロッキング、ロスレス、低遅延を可能にするL2スイッチが必要となり、L2スイッチの需要が増えるという。
同氏は、同社のネットワーク戦略を支える製品群としてスイッチ「PowerConnectシリーズ」を紹介した。まず、同社オリジナルのPowerConnectシリーズとアルバネットワークスのOEM製品であるW-SeriesはキャンパスLANとエッジ部をカバーする。ジュニパーのOEM製品は「PowerConnect Jシリーズ」として販売され、主にWANとセキュリティ機能を提供し、ブロケードのOEM製品は「PowerConnect Bシリーズ」として販売され、主にSANとコンバージェンス機能を提供する。
同氏は、同社のネットワーク分野に対するアプローチとして、「ベンダー独自のロックインを許さないこと」「オープンで標準的な技術を用いること」を強調した。「今まではネットワーク分野におけるデルのプレゼンスは小さかったが、デルにとってネットワークは核となるビジネス分野であり、投資も行っている」
同社は運用管理を含むインフラ全体の窓口となることを標榜しており、近いうちに、データセンター向けの管理ソフトをリリースする予定だ。