Texas Instruments(TI)は、ワイヤレス・インフラストラクチャ市場向けの量産出荷製品として、IQモジュレータIC「TRF372017」を発表した。すでに量産出荷を開始しており、1000個受注時の単価(参考価格)は5.50ドルとなっている。

IQモジュレータIC「TRF372017」

同製品はダイレクト・アップ・コンバージョンによるIQモジュレータ回路とPLL、広帯域のVCO(電圧制御発振回路)を集積、LO(局部発振器)の設計を簡素化できるとともに、基板実装面積の縮小が可能となる。

300MHz~4800MHzの連続同調範囲を提供するため、外部LO回路を不要とすることが可能となるほか、1個のIQモジュレータを元にして、3GPPおよび3GPP2のすべての標準規格ならびに免許取得済のWiMAXに適合・対応可能であり、開発期間の短縮およびコスト低減を図ることが可能となっている。

OIP3(出力の第3次インターセプト・ポイント)は26dBmを実現しており、ワイヤレス基地局、ワイヤレス・ローカル・ループ、ポイント・ツー・ポイントのマイクロ波およびソフトウェア無線をはじめとする各種のワイヤレス・インフラストラクチャ・アプリケーションのスペクトル・マスク規定を満足させる高い直線性を実現することが可能だ。

また、-160dBm/Hzのノイズフロアを提供しており、GSM、W-CDMA、CDMA2000、LTE、TD-SCDMAおよびWiMAXなどの周波数帯を含む広い連続同調範囲において、送信時に高いSNR(信号-雑音比)および、より良好なエラー・ベクトル振幅を提供する。

さらに、LO回路を集積するとともに、LOシンセサイザ回路の出力を独立した周波数デバイダに供給、追加の送信または受信シグナル・チェーンを駆動できることから、BOM(原材料費)の低減が可能となっている。

加えて、ベースバンドのバイアス電圧発生回路および、DCオフセット調整のためのD/Aコンバータを集積しているため、デザインの簡素化および、より小型の最終機器の実現が可能となる。このため、通信用D/Aコンバータとの間で受動部品によるインタフェース回路を使用し、コンパクトで高い直線性の広帯域送信アーキテクチャを実現できるようになる。

なお、同製品は評価モジュール「DAC3283EVM」に搭載されており、499ドル(参考価格)で全機能内蔵の送信ソリューションの評価が可能なデジタルRFプラットフォームを利用することが可能となっているほか、スタンドアロンの評価モジュール「TRF372017EVM」も299ドル(参考価格)で提供されている。