Analog Devices(ADI)は、スマートメータを盗電(タンパ、電力不正使用)から保護する電力量計測IC「ADE7953」を発表した。
同製品は、有効および無効電力量計算の両方で、ダイナミックレンジ3000:1にわたり、0.1%以下の誤差を特長とする。ニュートラル電流については、ダイナミックレンジ1000:1にわたって、0.1%以下の誤差で有効および無効電力量を提供する。このニュートラル電流測定によりメータの盗電検出機能が可能となり、課金精度が改善できるようになる。
また、rms電圧と電流だけでなく、皮相電力量も測定可能なほか、波形サンプリング機能、瞬間電流読み取り機能、電圧低下、ピーク電圧、およびピーク電流を含む、電力品質指示機能も提供する。高精度の計測エンジンとともに、3個のΣΔA/Dコンバータ(ADC)を内蔵しているほか、各入力チャネルは、独立した柔軟性のあるゲインステージをサポートしているため、低い値のシャント抵抗や電流トランスなどの多様な電流センサと組み合せて使用するのに対応することができる。加えて、2個のオンチップインテグレータ(積分回路)により、電流入力部にdi/dtセンサを用いることができるようになっている。
この盗電保護機能により、電力会社は課金の精度を改善し、営業費用を低減できるようになると同社では説明している。単相メーター構成向けのため、小さなアパートから大邸宅まで、さまざまな家電製品や電子機器を使う一般家庭の電力需要に対応でき、ニュートラル電流の測定機能により、設計者が盗電防止機能付きスマートメーターを開発することが可能になるという。
なお、すでにサンプル出荷を開始しており、量産出荷は2011年1月からを予定。1000個受注時の単価は2.15ドルとしている。