IBMは11月2日、HPC(ハイ・パフォーマンス・コンピューティング)環境を提供する同社のクラウドサービス「IBM Computing on Demand」の品揃えを拡充、GPUコンピューティング(GPGPU:General-Purpose GPU)による、大量データの並列処理に優れたHPC環境を提供するサービスを同日より開始したことを発表した。

同サービスは、IBMのデータセンターに設置され、HPC向けに構成されたサーバおよびストレージを高いセキュリティで保護されたネットワークを介して利用できるクラウドサービスで、ユーザーの発注から1週間以内に必要な資源を提供することが可能だ。ユーザーは必要なソフトウェアをインストールし、イントラネット上の資源として管理することができる。繁忙期への対応や短期間での新製品開発などで一時的なパフォーマンスの増強が必要な際に、必要な期間だけ利用できるという特長がある。

新たに提供されるGPU活用サービスは、448個の演算コアを搭載したGPGPU2個を最小単位とし、1週間以上1日単位の期間で利用可能。サービスの基盤は、「IBM System x iDataPlex dx360 M3」で、1サーバあたり2個のGPGPU(NVIDIA Tesla M2070)が搭載されており、この環境でも1TFLOPSを超える処理能力を活用することが可能となっている、

dx360 M3 GPGPUにGPU2基を搭載した場合の構成例

また、初めてGPGPUを活用する場合、既存のCPUベースのHPCアプリケーションをGPGPU向けに最適化する必要があるが、スーパーコンピュータ向けアプリケーションの開発エンジニアによる「IBM 超並列技術支援サービス」を活用することで、アプリケーション移行のアセスメントや作業支援、全作業の請け負いサービスなど活用することが可能となっている。

なお、8個のGPUを活用した場合の処理能力4.12TFlopsを1カ月利用する場合で、使用料金は160万円(税別)からとなっている。この処理能力は、112個のCPUによるIBM Computing on Demandと同等で、使用料金においては、約60%の低価格化がなされることとなる。