10月28日、「2010年プロ野球ドラフト会議 supported by TOSHIBA」が東京都港区のグランドプリンスホテル新高輪で開催された。
早稲田大学の大石達也投手に6球団、斎藤佑樹投手に4球団の指名が集まり、1位指名だけで合計5回もの抽選が行われるなど、野球好きの間で長く語りぐさとなるであろう名場面が数多く生まれた今年のドラフト会議。招待された1000人の一般観覧者からも興奮に満ちたどよめきが何度となく湧きあがり、時間とともに熱気と緊張感が増していく異様な雰囲気の中で、新たなスター候補達の名前が次々と読み上げられた。
大石選手の交渉権確定シーン。この後、渡辺監督は「信じられない」とコメント。ちなみにこの日、渡辺監督は、早稲田カラーであるえんじ色のパンツをはいてきたという |
斉藤選手の交渉権確定シーン。北海道日本ハム・ファイターズ 藤井純一球団社長は封筒の中身を確認するのに手間取り、喜びを表現するまでにしばらく時間がかかった |
……と、そんな"熱戦"のレポートはスポーツ新聞各紙に譲るとして、本稿では、マイコミジャーナルらしく、熱いドラフトの裏で密かに来場者を楽しませていた、知られざる"展示/体験スペース"に焦点を当て、当日の模様をお伝えしよう。
多くのドラマを生んだ選手指名会場の隣に…
ドラフト会場は、グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミールの3階、「崑崙」という部屋で開催された。1階からエスカレータを2度ほど上って右手に現れる巨大な催事会場が崑崙である。この部屋の扉を開くとスポーツニュースなどでよく見かける、いかにもドラフト会議といった会場がお目見えする。埼玉西武ライオンズ 渡辺監督が2年連続で6球団競合の状況から交渉権を引き当てたり、オリックス・バッファローズの岡田監督が3回連続で抽選に敗れたりと、TVで報じられたドラマがこの部屋で生まれた。
その崑崙の扉をあえて開かず、さらに右手奥に進むと、まるでコンシューマーイベントの展示会場のような場所が登場する。こここそが本誌が取り上げようとしている展示/体験スペースである。こちらは、今回のドラフト会議のスポンサーである東芝と日本野球機構が協力して設置したスペースで、中には来場者に楽しんでもらうための企画がいくつも用意されていた。
まず、入室してすぐに現れたのが東芝のPC「dynabook」である。ただし、通常のdynabookではない。天板とデスクトップの壁紙に各球団のロゴがあしらわれた限定モデルである。今回のドラフト会議で各球団が指名選手の名前入力に使用していたのと同じもの。12球団それぞれのモデルが用意されており、東芝の直販サイトにて各100台ずつ限定で販売もされているという。
展示/体験スペースを入るとすぐに、2010年プロ野球ドラフト会議 supported by TOSHIBAの巨大なポスターが |
展示/体験スペースの入り口正面にはdynabookの12球団モデルが展示されていた |
その12球団ロゴ入りPCと背中合わせのかたちで設置されていたのが来場者向けの記念撮影スペースだ。ここにはドラフト会議で実際に使われたものと同じ抽選BOXが用意されており、天性の"引きの強さ"を見せた埼玉西武ライオンズ 渡辺監督や北海道日本ハム・ファイターズ 藤井純一球団社長を気取ることもできた。
さらにその奥に用意されていたのは、プロ野球の歴史を振り返るスペース。今回指名された選手達が子供のころに活躍していた主要選手のユニホームやドラフトの主な出来事を綴った年表が展示されていた。
そして、この展示スペースの目玉と言えるのが、指名された選手の気分が味わえる"指名体験コーナー"だ。指定の用紙に、好きな球団、自分の名前、所属、ポジションを記入すると、その内容を係員がPCに入力してくれ、ディスプレイにドラフト指名選手の発表と同じ形式で自分の名前が表示される。カメラを持っていれば、係員が記念写真の撮影も行ってくれるという手厚いサービス内容になっていた。
指名体験コーナーの隣には、応援メッセージ投稿コーナーがあり、備え付けのPCから今回のドラフト会議で指名された選手に向けたメッセージを入力することができた。また、入口の脇には、各球団のメッセージが記載された「交渉権確定」用紙も展示されていた。
筆者が個人的に最も感心を引かれたのは、同展示会場の済みにひっそりと用意されていたお土産コーナーである。販売商品の中で特に目についたのは、指名選手重複時に使用される抽選BOXを模した箱型ティッシュ。なんと、中身のティッシュには12枚に1枚の割合で「交渉権確定」の文字が印字されているという、ファンにはたまらないアイデア商品になっていた。
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一般観覧者を迎え入れて2回目となる今回のドラフト会議では、一年に一度の大イベントを楽しんでもらうための催し物が多数用意され、来場者の思い出作りに一役買っていた。残念ながら、今年も昨年と同様、ドラフト会議の重複指名抽選をはるかに上回る倍率の中で当選した幸運な方しか参加することができなかったようだが、来年はより多くの野球ファンが楽しめるようになることを期待したい。