三菱電機は10月29日、2011年3月期上半期(2010年4~9月)の決算概要を発表した。売上高は前年同期比11.9%増の1兆7118億6000万円、営業利益が同619.3%増の1129億200万円、純損益が前年同期の258億8300万円の損失から、712億7500万円の黒字へと益転を果した。

三菱電機の2011年3月期上半期業績の概要(単位は億円)

三菱電機 常務執行役 経理部長の吉松裕規氏

同社常務執行役 経理部長の吉松裕規氏は同上半期決算の状況について「想定以上の成果」とし、特に新興国を中心とした市場の回復に加えて、猛暑を中心に家電関連が好調であったこと、産業メカトロニクス部門がアジアを中心に堅調に推移したことを挙げ、「従来ピークの2008年上半期比でも90%まで回復した」とする。

また、黒字化の要因の1つとして、「持分法損失が前年同期280億7200万円から23億5000万円に縮小したことが大きい」と指摘。これは、半導体事業会社であるルネサス エレクトロニクス(前年度はルネサス テクノロジ)の比率変更などによる改善効果によるものとする。

セグメント別の業績では、重電システムは国内外の交通事業が伸長したものの、海外電力事業の大口案件の現象などにより、受注、売り上げともに下回り、売上高は前年同期比72億7300万円減の4406億5400万円となった。しかし、コスト改善などを図った結果、営業利益は同102億7200万円増となる324億8000万円となった。

産業メカトロニクスは、中国の工作機械関連需要および韓国のFPD関連需要をはじめとしたアジア市場の需要拡大により、受注、売り上げともに前年同期を上回り、の売上高は同1263億2100万円増となる4469億7400万円となった。この結果、営業利益は同541億6200万円増の511億4200万円となった。

情報通信システムは、ブロードバンドサービスに対応した宅内機器の受注拡大により、受注が前年同期を上回ったものの、光アクセスシステムなどの通信インフラの需要減などが影響し、売上高は同251億9200万円減の2189億7200万円となったものの、営業利益はコスト改善を進めた結果、同21億4700万円増の71億5800万円となった。

電子デバイスは、民生用パワー半導体や産業用パワー半導体、通信用光デバイスの受注拡大による売上増、ならびにFPD事業の産業用途製品および車載用途製品の受注拡大により、売上高は同245億8000万円増の859億8900万円となった。また、営業利益が同83億1900万円増の30億2800万円となった。

家庭電器は、今夏の猛暑の影響による需要増となった国内外向け空調機器、各国政府の補助金制度による太陽光発電システム、国内向け液晶テレビなどの伸長により、売上高は同543億5000万円増の4655億2300万年、営業利益も同190億3000万円増となる264億9600万円となった。

その他は、資材調達、物流、エンジニアリングなどの関連会社を中心に売り上げを拡大、結果、売上高は同395億6600万円増の2948億2500万円、営業利益も同27億800万円増の54億3300万円となった。この結果、全セグメントでの黒字化が達成された。

2011年3月期上半期の各セグメント別業績(単位は100万円)

また、地域別では日本の売り上げが同1808億6800万円増の1兆4789億300万円、営業利益が同842億9600万円増の794億2200万円、北米の売上高が同66億3600万円増の1056億2400万円、営業利益が同24億6600万円減の18億6700万円、アジア地域の売上高が同783億2400万円増の2780億3200万円、営業利益が同108億7500万円増の212億5500万円、欧州の売上高が同140億4400万円増の1493億5500万円、営業利益が同49億9400万円増の59億800万円となり、こちらも全地域で黒字化を達成した。

2011年3月期上半期の各地域別業績概要(単位は100万円)

なお、同社では上半期の好調さを受け、「円高懸念や日米欧それぞれの先行き不透明性はあるものの、アジアを中心とした設備投資の回復と、今夏の猛暑による売上増などを含め、業績の上方修正を決定した」としており、これにより通期業績を売上高を前回予想比300億円増となる3兆5600億円、営業利益を同450億円増となる2050億年、税引前純利益を同500億円増の1950億円、純利益を同250億円増となる1150億円へとそれぞれ上方修正している。