NECは2010年10月28日、2011年3月期の上半期(2010年4~9月)の決算概要を発表した。売上高は前年同期比11.2%減の1兆4691億6000万円となったものの、営業損益は前年同期の377億300万円の赤字から、10億8500万円の利益へと黒字転換を果した。また経常損益は同276億円改善となる222億7300万円の損失、純損益は同166億円改善となる270億4200万円の損失となった。
NECの代表取締役 執行役員社長である遠藤信博氏 |
売上高の減少について、同社代表取締役 執行役員社長の遠藤信博氏は、「これまでグループ会社として半導体事業を行ってきたNECエレクトロニクス(現ルネサス エレクトロニクス)が連結子会社でなくなったこと、およびキャリアネットワーク事業の減収が主な要因」と説明する。また、営業利益についても、「前年同期に営業損失を計上したNECエレクトロニクスが連結から抜けたことが大きな要因」と、半導体事業が足かせであったことを強調した。
セグメント別の業績は、ITサービスが国内における全体的なIT投資の回復遅れにより、金融業・製造業などの一部の業種向けSIサービスやアウトソーシングサービスが改善傾向にあるものの売上高は前年同期比1.7%減の3710億円となり、営業損益も売り上げの減少やサービス関連事業およびグローバル事業拡大に向けた投資増加などにより、前年同期比60億円悪化の35億円となった。
プラットフォーム事業は、ソフトウェアや企業向けネットワークなどが堅調に推移したことなどにより増収となった結果、売上高が同6.4%増の1768億円となり、営業損益も売上増や継続的な費用削減などにより、同119億円改善の15億円の損失となった。
キャリアネットワークは、海外向け無線通信機器の売り上げの減少や、海洋システムの契約手続きの遅れの影響が響き、売上高は同12.2%減の2710億円となり、営業損益も費用削減を進めたものの、同54億円悪化の70億円となった。
社会インフラは、交通、消防などの社会システム分野が堅調に推移した結果、同6.3%増の1379億円となり、営業損益も売り上げの増加やコスト削減効果により同13億円改善の40億円となった。
パーソナルソリューションは、携帯電話機市場の競争激化による販売低迷の影響があったものの、PCの売上増などがあったことで同8.2%増の3921億円となったが、営業損益は携帯電話機の売上減少などが影響し、同53億円悪化の29億円となった。
その他は、NECエレクトロニクスの非連結化により同61.1%減の1205億円となったものの、営業損益は逆に同406億円改善し30億円の黒字転換を果した。
結果、すべてのセグメントで黒字化を達成、「プラットフォームを除く5セグメントが上半期でも黒字化を達成した」としながらも、「キャリアネットワーク、ITサービス、パーソナルソリューションが売上高、営業利益ともに目標に未達」と課題が残されているとしたほか、「営業利益率が当初の想定よりも低いセグメントがあった」ことを指摘、特にITサービスに関しては、予想以上の投資活動の停滞があり、クラウド事業などの先行投資分の負担も含めて、「案件の減少による価格競争の激化が要因だが、仕方のない面もある」と述べた。
下期に関しては、「上半期の状況を踏まえて、通期見通しをセグメント別に若干の変更を加えた」としたほか、経常利益についても、持分法適用会社であるルネサス エレクトロニクスの純損失800億円のインパクトを織り込み、経常利益を第1四半期時予測より150億円減となる550億円と下方修正した。ただし、「ルネサスの業績で対象となるのは270億円分。その内、上期の段階で半分程度は対応した。150億円の下方修正は、その残り分」としながらも、各種の構造改革などを行うことで、純利益は当初予測の150億円を維持するとした。