リコーは10月28日、2011年3月期上半期(2010年4~9月)の決算概要を発表した。売上高は、前年同期比1.8%減の9708億6600万円と若干の減収となったものの、営業損益は同171.6%増の380億1200万円、純損益が同592.0%増の125億1200万円となった。

リコー2011年3月期上半期の決算概要と営業利益の増減分析

リコー取締役専務執行役員の三浦善司氏

国内外の売上高は、国内が同4.1%増の4390億円、海外が同6.2%減の5317億円となっているが、「為替の影響を除いた場合、海外も同3.4%増となり、合計も同3.7%増となる」(同社取締役専務執行役員の三浦善司氏)と、円高の影響を受けたことを強調した。

日本以外の地域別の売上高の内訳は、米州が同5.8%減の2648億円、欧州が同11.1%減の2010億円、その他地域が同10.2%増の658億円となっており、「米州は案件ベースでは回復傾向にあるが、市場が回復したとはいえない。ドル安も検討要因」とするほか、「欧州もドイツが輸出中心に改善傾向で、政府によるIT投資支援も年内は見込める。英国やフランスもGDPの改善が進んできているが、実際のOA機器の購買にまでは結びついていない」と指摘した。

製品別と地域別の売上高

円高の影響は営業利益にも影響を及ぼしており、前年同期との増減比較を行うと、販売の増加と利益率の改善で利益が405億円の増加、さらに研究開発の絞込みによる19億円の増加、製品原価の低減で33億円の増加となったが、マイナス要因としてその他経費の増加で5億円、為替影響で212億円となった結果として、380億円の営業利益となったと説明する。

分野別の業績は、画像&ソリューション分野の売上高が同2.8%減の8509億円で、内訳はネットワークシステムソリューションが同10.9%増の1442億円、画像ソリューションが同5.2%減の7066億円となり、営業利益は730億円で営業利益率は8.6%となった。「主力のプリンタに関して、この上半期において新製品が出ていなかったことも業績に影響しているが、11月には新製品の発表も予定しており、それによる売り上げの拡大を見込む」とする。

画像&ソリューション分野の業績概要

産業分野に関しては、売上高が同9.6%増の583億円で、「半導体、サーマルメディア、電装ユニットなど主な製品がいずれも回復傾向」とのことで、営業利益率も1.8%となり、営業利益そのものも前年同期の7億円の損失から10億円の黒字化を果した。

産業分野の業績概要

その他分野に関しては、売上高が同2.7%増の641億円。「構造改革と需要回復により利益が改善した」とするも、営業利益率は-0.7%であり、営業損益も前年同期比6億円改善も4億円の赤字となった。

その他分野の業績概要

三浦氏は、「ソリューション販売の増加などによる粗利率の改善と、構造改革の継続による経費削減効果などにより、営業利益は計画を上回れた。また、基盤事業は緩やかな需要の回復が継続、日米欧でも上向き傾向になった」とするが、やはり「ユーロ安・円高の影響もあったが、プロファクションプリンティング事業、ソリューション事業などの新規事業が前年同期比2桁成長を継続していることに加え、構造改革なども継続して行っており、為替の影響を吸収できた」と上半期を振り返り、通期業績についても、「為替を1ドル80円に見直しを図った結果、売上高は第1四半期時の予測から300億円減少となる2兆200億円に変更した」とする。ただし、この金額については、「円高の影響でどうなるか分からないが、少なくとも増収を達成したいと思っていることから、この金額を目標とした(2010年3月期は2兆163億円)」とする。

2011年3月期通期業績の見通し。円高の影響で売上高が300億円減少となっている

また、利益については、製造原価の改善や販管費の低減などを行うことで利益を確保し、為替の影響を相殺することで営業利益以下の変更をせず、株式配当も上期配当金で16.5円、年間配当金33円の見通しを継続するとした。