The Linux Foundation(LF)と、組込Linuxを対象とする国際的なオープン ソースソフトウェア開発コミュニティであるConsumer Electronics Linux Forum(CELF)は、両者の組織を統合し、CELFがLinux Foundationの技術ワークグループとなることを発表した。同合併に伴い、Linux Foundationは、組み込み分野での技術プログラムをさらに拡充していく意向を示している。
すでに多くの家電製品においてLinuxは活用されているが、CELFとLinux Foundationは、両者のリソースを統合することで、家電業界におけるLinuxの普及がより効率的に進むと考え、今回の合併を決定したという。
実際、Linux Foundationのメンバーの多くがCELFのメンバーでもあり、また、両団体の活動目的は合致していること、そして組み込み分野におけるLinuxに関連する企業や開発者が近年増加傾向となっており、リソースの統合を行うことで両団体が強化され、それぞれのメンバーの使命である「組込Linux市場の成長」を実現することができると両者では説明している。
合併の詳細な内容としては、CELFがLinux Foundation の正式なワークグループとなり、CELFの技術イベントおよびWeb基盤の管理を引き継ぐこととなる。また、CELFのメンバーで、まだLinux Foundationのメンバーでない企業は、シルバーメンバーとして迎えられることとなる。
CELFは2003年に家電メーカー大手8社により設立された組織で、参画企業は、パナソニック、ソニー、日立製作所、NEC、Royal Philips Electronics、Samsung Electronics、シャープ、東芝となっている。
なお、Linux Foundationは、組込分野における技術活動、および従来のCELFの活動の継続に注力していくほか、組込分野を対象とした新しいワークグループ「Yocto Project(ヨクト・プロジェクト)」を組織したことも併せて発表した。
同プロジェクトは、ハードウェアアーキテクチャに依存せず、企業が組込製品向けに Linuxシステムをカスタマイズする際に役立つ、高品質なオープンソースのツールを提供するもので、オープンソース「Yocto Project」 として、一般的に難しいとされている組込Linux開発プロセスを容易にするために必要な要素が集結されることとなる。
Yocto Projectは、バージョン0.9が間もなく発表される予定で、ビルドツール群のイニシャルバージョンを提供する予定としている。
また、Yocto Projectへの参加は完全にオープンで、誰でも開発活動に参加できることから、Linux Foundationでは、コントリビュータを募集しており、参加を希望する開発者やその他の協力者は、同プロジェクトのWebサイトより応募することが可能だ。