日立製作所は10月27日、コンテンツデータの集約やストレージシステムの統合を実現するファイルストレージ装置「Hitachi Virtual File Platform」(以下、VFP)を発表した。11月1日より提供を開始する。

Hitachi Virtual File Platform(ストレージセットモデル)。中段の黒い筐体がVirtual File Platformで、下段の青い筐体がHitachi Adaptable Modular Storage 2000シリーズ

日立製作所 情報・通信システム社 プラットフォーム部門COO 小菅稔氏

今回発表されたVFPは、データの一元管理とストレージ容量の柔軟な利用を可能にする「仮想ファイルプラットフォーム」と謳われている。最大の特徴は、ファイルシステムの容量を、従来比約60倍となる最大1PBまで拡張できる点。これにより、社内や各拠点に散在するファイルシステムを1つに統合できるため、システム設計や運用管理の負担が軽減が期待できる。

また、対応プロトコルが豊富な点も大きな特徴の1つ。ファイルストレージで利用されるCIFS(Common Internet File System)やNFS(Network File System)に加えて、SANストレージで利用されるFC(Fibre Channel)/iSCSI(Internet Small Computer System Interface)のプロトコルにも対応。これにより、ファイルストレージとSANストレージを1つのシステムに統合することが可能で、さらなる負担軽減や運用管理コストの削減が可能という。

加えて、最新のプロセッサーを採用して性能を従来比2倍に向上したほか、ファイルシステム容量の仮想化機能を搭載し、ディスク増設作業もシステムを停止することなく行えるといった特徴も備える。

日立製作所 情報・通信システム社 RAIDシステム事業部長 岩崎秀彦氏

日立は、今回のVFP発表に際して「コンテンツクラウド」と呼ばれるコンセプトも提唱した。コンテンツクラウドでは、大量のコンテンツデータを集約/統合して管理できるストレージシステムを構築し、ユーザー/管理者が実際のデータ格納場所やデータの種類を意識することなく自動運用できる環境作りを目指す。発表会では、このコンセプトを具現化するための機能として、2011年2月を目処に「ファイル仮想化機能」、「ポリシー制御データ管理機能」、「クラウド対応マルチテナント機能」をVFPに追加する予定があることも説明。ファイル仮想化機能により、データ格納場所とデータアクセス手段を切り離し、データセンターに格納されたデータをローカルに設置したストレージと同様に利用できるようになるほか、ポリシー制御データ管理機能により、VFPが自動判定したデータ利用頻度と管理者が設定したポリシーに従ってデータの格納場所が最適化され、クラウド対応マルチテナント機能により、集約されたストレージシステムをあたかも拠点ごとに個別のストレージが設置されているかのごとくセキュアで柔軟な運用管理環境を実現するという。

VFPは、データ格納処理を担うVFPノード単体で提供する「ゲートウェイモデル」と、VFPとミッドレンジディスクアレイ「Hitachi Adaptable Modular Storage 2000シリーズ」をセットにした「ストレージセットモデル」が用意されている。それぞれの価格と概要は以下のとおり。

名称 概要 価格
Hitachi Virtual File Platform ストレージセットモデル 2ノードクラスタ構成、搭載メモリ12GB/クラスタ~、物理容量584GB~ 884万3100円~
同 ゲートウェイモデル 2ノードクラスタ構成、搭載メモリ12GB/クラスタ~ 552万6150円~

また、日立は併せて、VFPの導入検討から構築、運用までのシステムライフサイクル全体を支援するサービス「Hitachi Virtual File Service」を11月より提供することも発表。VFPの導入効果を可視化する「Hitachi File Storage Economics service」、VFPの導入構成の最適化を支援する「Hitachi File Storage Assessment service」、VFPの維持運用を効率化する「Hitachi File Storage Managed service」の3種類のメニューが用意されている。価格はいずれも個別見積もり。