ジュニパーネットワークスは10月26日、ビジネスにおいてスマートフォンなどのモバイルデバイスをセキュアに利用するためのソフトウェアソリューション「Junos Pulseモバイル・セキュリティ・スイート」を発表した。米国では同日に提供が開始されているが、日本国内での提供は現在のところ未定。

モバイル・セキュリティ・スイートは、エンタープライズビジネスにおいてもスマートフォンやタブレット端末などのモバイルデバイスの利用が増えていることを受け、これらのデバイスを通しても安全に業務ネットワークにアクセスできるようにするもの。ウイルスやマルウェア、スパム、不適切なコンテンツなどからデバイスとユーザを保護し、同時に、モバイルデバイスによる不正アクセスや情報漏洩から業務ネットワークを守ることを実現する。

同スイートに含まれるソフトウェアおよびサポートは以下の通り。

  • アンチウイルス
  • パーソナルファイアウォール
  • アンチスパム
  • リモートコントロール
  • リモートバックアップ
  • デバイスロケーター
  • セキュアな社内アクセスの提供
  • ペアレンタルコントロール
  • クロスOSサポート

Junos Pulseクライアントをインストールしたモバイルデバイスに対し、セキュリティ・スイートを通してさまざまな操作(ex. 紛失時の情報抹消、アプリケーションの強制インストール/削除など)をリモートで行うことができる

対応プラットフォームはAndroid、BlackBerry、Symbian OS、Windows Mobile(6以上)、iOS(現在対応中)。

ジュニパーネットワークス サービスプロバイダ マーケティングマネージャ 佐宗大介氏

ジュニパーネットワークス サービスプロバイダ マーケティングマネージャの佐宗大介氏は「モバイルデバイスでできることがPCと変わらなくなり、爆発的な普及が進んでいる現在、企業はモバイルデバイスのセキュリティを再認識する時期に来ている」と語り、「たとえば会社の携帯電話でプライベートの写真をやり取りしたり、管理者の許諾を得ずに私物のモバイルデバイスから会社の業務ネットワークにアクセスするなど、モバイルデバイスを取り巻くセキュリティには確固たる標準がない状態になっている。ここまでモバイルの普及が進んだいま、プライベートとエンタープライズは用途をきっちりと分けるべき」とし、業務で使用するモバイルデバイスをSSL VPNとオンデマンドが両立した状態で安全に使用できる唯一のソリューションがJunos Pulseモバイル・セキュリティ・スイートだとする。

管理者は、位置情報により管理する端末がどこにあるかを把握することができ、また、コンタクトリストや写真フォルダ、インストール済みのアプリケーションのチェックも可能、不要なデータを入れていたり、認められていないアクセスを行っている従業員に対しアラートを送信できる。盗難/紛失時にはリモートからの電源オフや完全な情報ワイプを行うことも可能だ。

Android端末にインストールされたJunos Pulseクライアント。一番上の右側のアイコンがそれ。もっともユーザ側からこのクライアントを通して操作できることはほとんど何もないといえる

所有するデバイスがどんな管理下に置かれているかを表示させたところ。写真やSMS、通話などの記録はすべて管理者が見ることができるようになっている。もちろん位置情報も。ユーザがこれを変更することは不可

管理者はSaaSで提供される管理ソフトウェアを通じて、管理下にある全デバイスの状況をチェックできる

このようにモバイルデバイスに格納された写真フォルダもすべてチェックされてしまう。業務で使う携帯にはプライベートフォトを入れないことが常識に!?

このサービスを利用することで企業は個人とデバイスを一致させた管理が可能になり、セキュリティとアクセスを1つのクライアントに統合することができる。また、サービスプロバイダはこのセキュリティ・スイートを利用してスマートフォン向けのセキュリティサービスやバンドルサービスを顧客に対して提供可能になる。

佐宗氏は日本での提供が現状では未定の件については、「日本独自の端末仕様にあわせ、クリアしなければならない技術的課題が若干残っており、また、ビジネスモデルについてもどういった形で提供できるかを現在検討中」と語っている。なお、米国では最小50ユーザ規模/1年契約といった形態でBtoBやBtoBtoCへの提供が開始されたという。

ジュニパーネットワークスは同日、米国オハイオ州コロンバスに世界初のモバイルセキュリティに特化した脅威対策の研究センター「Juniper Global Threat Center」を開設したことを発表した。今後、モバイルデバイスへの脅威のトラッキング、対応策の検討、調査などを行い、2011年上半期中に要約レポート「State of Mobile Security 2010 Report」を発表する予定。