日系企業の進出・事業拡大の動きが止まらない中国。そんな市場動向を背景に、ITインフラ構築を請け負う日本のITベンダーの中国における事業展開も本格化の兆しを見せている。2010年4月から中国 天津のデータセンターの稼働を開始したTIS(天津TIS海泰)もその1つ。小誌ではこのほど、同センターの責任者である丸井崇氏に、中国のデータセンター事情やデータセンター選びのポイントについて聞いてみた。これから新たに中国拠点でITインフラを構築する予定がある企業の担当者は参考にしていただきたい。

規制緩和で日系企業の通販事業進出が加速する可能性

天津提愛斯海泰信息系統有限公司(天津TIS海泰) 総経理 丸井崇氏

帝国データバンクが10月22日に発表した調査によると、中国に進出している日系企業の数は1万社を超えているという。現在は、そのうち製造業が約4割を占めているという状況となっている。

しかし、8月19日付で中国 商務部弁公庁によって「外商投資のインターネット、自動販売機方式の販売プロジェクトの審査管理関連問題に関する通知 (商資字[2010]272号)」が公布されたことにより、これまで出資規制など制約が大きかった「中国でのネット通販事業」について、規制が大きく緩和されたという見解が業界で広まりつつある。これにより今後、進出企業の業種比率や事業の展開方法に大きな変化が生まれるかもしれない。

この「規制緩和」については内容が曖昧な部分があるため、一概に「規制が緩和された」とは言えない状況のようだが(※)、データセンター事業者にとっては顧客拡大というチャンスが広がる可能性がある。

※詳細については、日綜(上海)投資コンサルティング有限公司(日本総研グループ)が9月1日に発表している「ネット販売、自動販売機方式販売に関する通達」を参照されたい。

今回話を伺った天津TIS海泰の丸井氏も、「これまでは金融系の顧客が中心だったが、今後はネット通販を展開する日系企業も大きなターゲットになるのではないか」と、今後の動向について期待感を示している。

天津TIS海泰のデータセンター(天津濱海高新IDC)は、国家レベルのハイテク産業開発区とされる「天津高新区軟件園(THIP Software Park)」に位置する

天津濱海高新IDCの外観。写真は周囲が工事中となっているが、現在はすでに完了し、ビルが立ち並ぶ状態だという