日本オラクルは10月21日、同社が提供するSaaS型CRMアプリケーションの最新版「Oracle CRM On Demand R18」を発表、同日提供を開始した。クラウドコンピューティングの重要性が高まる中、SaaS型CRMについても数百 - 数千ユーザ規模での導入を検討し始める企業が増えてきており、これを受けて同製品ではエンタープライズレベルでの運用を重視、セキュリティや拡張性の強化を図っている。
日本オラクル CRM On Demand統括本部 セールスコンサルティング&ビジネス推進部 部長 山瀬浩明氏は「クラウドコンピューティングが企業のITシステムの中核を担いつつあるトレンドのなか、オンデマンドのCRMもまたビジネスにとって重要な位置を占めるようになってきた」と現状を分析、オンデマンドCRMの導入に二の足を踏んでいた大企業からの問い合わせが日を追って増えてきているという。
こうした流れを受け、Oracle CRM On Demand R18では、ベースとなるCRM機能の拡充を図るとともに、エンタープライズ企業の導入の足かせとなっているセキュリティ環境を大幅に強化したのが最大のポイントとなっている。アプリケーション、ネットワーク、データベースの3つのレベルでセキュリティが強化されており、とくに顧客からの要望が高かった仮想プライベートネットワーク(VPN)接続のサポートが実現した点が大きい。また、監査証跡の拡張、オラクルデータベースのセキュリティ基盤「Oracle Database Vault」への対応なども行われている。
CRM機能の強化点としては、ターゲット顧客や提案製品の選択、売上見込みなどのビジネスプランを策定するパッケージ「Oracle CRM On Demand Business Plannning」が新たに追加され、営業目標の設定や商談実績の比較/分析などが行える。「BI分析機能はOracle CRM On Demandならではの機能。標準でBIテンプレートを添付しており、計画と実績のすりあわせがしやすく、営業活動が間違った方向に行かないように支援する」(山瀬氏)
Oracle CRM On Demandには金融業、ライフサイエンス、ハイテク、自動車など、いくつかの業種別テンプレートが用意されているが、今回、金融業における保険テンプレートを新たに追加し、保険代理店のビジネスを支援する機能が追加されている。またライフサイエンス向けテンプレートにおいてもコール活動計画のナビゲーション強化を図っている。
さらに大規模ユーザ向けのサービスとして、「Oracle CRM On Demand Services」の提供も開始する。これは、ユーザ数200名、契約期間36カ月以上のユーザ企業に対し、オラクルの技術者による支援やトレーニング、CRMの有効な活用を促すアドバイスなどが無償で提供される。「残念ながら、カットオーバー後に使われなくなるシステムも確かに存在する。そういった事態を避けるため、作って終わりのCRMシステムではなく、運用フェーズに入ってからもお客様を支援し続けていくためのサービス」(山瀬氏)
Oracle CRM On Demand R18の価格は、1ユーザあたり月額8,559円から。