Xilinxは10月19日(米国時間)、車載向けターゲットデザインプラットフォーム(TDP)を3種類発表した。これらのプラットフォームを活用することで、車載システムの設計者はFPGAを利用して、ドライバアシスタンスやドライバインフォメーション、インフォテイメントといった各種システムに求められる高い性能やインテグレーションを実現できるようになると同社では説明している。
同TDPには、「Xilinx Automotive(XA) Spartan-6 FPGA」が同梱されており、開発ボードやキット、IPコア、デザインツール、シリコンデバイスを総合的にエコシステムとして提供することで、車載システム設計者がコネクティビティやDSP機能など基幹部分の開発に費やす時間を削減し、独自の付加価値の開発に集中することが可能になるという。
3つのTDPは「ドライバ・アシスタンス・サラウンドビュー」「ヘッドアップディスプレイ(HUD)内蔵ドライバインフォメーション・ハイブリッド・インストルメント・クラスタ」「インフォテイメント・コンパニオンチップ(CC)開発プラットフォーム」と銘打たれている。
ドライバ・アシスタンス・サラウンドビューは、複数のカメラインプットを処理するプラットフォームで、カメラを4つ用いてサラウンドビューシステムを構築できるほか、カメラ同士を切り離してリアビューパーキングやブラインドスポット検出といったシステムを作ることも可能。
1つのデバイス内に異なるアプリケーションをプログラムすることが可能で、例えば別の機能が割り当てられているカメラやセンサなどの同じエレクトロニクス部品に、バックアップオペレーションや前方ブラインドスポット検出といったアプリケーションを実装したりできる。
同TDPは同社の開発ボード「SP605」をベースとしており、FMCドータカードを別途用いることで、4つのカメラからのデータを非直列化することが可能となる。メガピクセルセンサと各種ボードはOmniVisionから、SuperFisheyeレンズはSunexからそれぞれ供給され、FPD-Link III LVDS シリアライザ/デシリアライザチップはNational Semiconductorから、IPおよびドータカードはXylonから入手可能。
HUD内蔵ドライバインフォメーション・ハイブリッド・インストルメント・クラスタはXylonと開発したTDPで、Spartan-6の広帯域幅メモリや高速I/O、柔軟性を活用することで、さまざまなディスプレイ用の高品質グラフィックスをサポートすることが可能。プラットフォームのベースには開発ボード「logiCRAFT 6」を採用。同ボードは、インフォテイメントやドライバインフォメーションといったアプリケーションに求められる特徴を数多く提供しており、完全に機能する関連リファレンスデザインとして、ステッピングモータ・ゲージコントロール、HUDを含むデュアルTFTディスプレイ、リアビューカメラインプットなどが同梱されている。
CC開発プラットフォームは開発キット「logiCRAFT 6 CC」としてXylonより提供されるプラットフォームで、柔軟性が高く、広く使われているホストプロセッサに XA Spartan-6を組み合わせることが可能。同プラットフォームアーキテクチャの中核となる機能は、アプリケーション独自のペリフェラルやコネクティビティ・エクステンションからホストプロセッサのインタフェースを抽出できることで、これにより、コンパニオンチップシステムを再デザインすることなく、プロセッサや関連ホストのインタフェースを容易に変更することが可能となっている。
Xylonは、PCI Expressのような標準規格に対応した完全なホストインタフェースコントローラを提供しており、Xilinxのエンベデッド開発キットの各種ツールを用いて、コネクティビティブロックやコプロセッシングブロックをアプリケーション内に追加することも可能である。 なお、logiCRAFT-CC コンパニオン チップ キットは、1,495ユーロ(1,950ドル)でXylonから提供される。logiCRAFT 6ボードも同じくXylonより1,295ユーロ(1,650ドル)で購入できる。サラウンド ビュー ターゲットデザインプラットフォーム用のSP605ボードはXilinxより495ドルで購入できる。また、ドータカードおよびIPはXylonから、開発ボードはOmniVisionから、SuperFisheyeレンズはSunexから、FPD-Link IIILVDS シリアライザ/デシリアライザチップはNational Semiconductorから、それぞれ入手可能となっている。