Freescale Semiconductorは、無線基地局送信機で利用されるドハティ構成のマルチキャリア・パワー・アンプ(MCPA)で必要とされる出力レベルを実現する、3種のRF LDMOSパワー・トランジスタを発表した。

今回発表された3製品は「MRF8S18260H/S」「MRF8P18265H/S」「MRF8S19260H/S」となっており、同社の第8世代高電圧(HV8)RFパワー・アンプ・ファミリのデバイスで、1800MHzおよび1900MHz帯域向けRF LDMOSパワー・トランジスタ・ポートフォリオの中で最高の出力電力を実現する製品群となる。

MCPAを用いることで、ワイヤレス・サービス・プロバイダは、従来とは異なり、キャリアごとの専用アンプを用意することなく、既存の基地局のサービス・エリアと容量を増強することが可能となる。単一のアンプが複数のキャリアに対応できるため、最終製品のサイズと部品点数が削減できるほか、ドハティ構成により、パワー・アンプのエネルギー効率が向上するため、基地局の年間運用コストを抑えることもできるようになる。

新製品はいずれも、クラスABモードで動作するキャリア・アンプと高効率のクラスCモードで動作するピーク・アンプを組み合わせたドハティ型アンプ・アーキテクチャの要求を満たしているほか、デジタル・プリディストーション(DPD)回路のエラーコレクション特性を改善するように最適化されている。

各トランジスタは、内部整合回路の組み合わせにより、32V DCにおいて10:1の電圧定在波比(VSWR)で定格出力を生成することが可能。同社のNI1230セラミック・エアキャビティ・パッケージで提供され、静電放電(ESD)保護機能を統合しているほか、-6V~+10Vのゲート電圧範囲により、クラスCモードでも安定して動作することが可能となっている。

MRF8P18265H/Sは、ドハティ最終段アンプの実装に必要となるキャリア・アンプとピーク・アンプの双方を単一のパッケージに統合したデュアルパス・デバイスで、 1805MHz~1880MHzの帯域に対応し、280Wのピーク(P3dB)出力、72Wの平均出力で43.7%のドハティ・ドレイン効率、16dBのドハティ・ゲインを提供する。

また、MRF8S18260H/Sは、1805MHz~1880MHzの帯域に対応し、260W CWのP1dB出力、74Wの平均出力で31.6%のクラスABドレイン効率、17.9dBのゲインを提供する。

そして、MRF8S19260H/Sは、1930MHz~1990MHzの帯域に対応し、245W CWのP1dB出力、74Wの平均出力で34.5%のクラスABドレイン効率、18.2dBのゲインを提供する。

なお、3製品ともにすでに量産出荷中で、リファレンス・デザインをはじめとした各種サポート・ツールも利用可能となっている。