Salesforceのコンサルティングと開発に注力してきたテラスカイ。同社はクラウドを合言葉に右肩上がりで成長を続けるSalesforce.comとともに、前年比100%以上の成長を果たしている。最近は、「Salesforceと基幹システム」、「SalesforceとAmazon EC2」といったように、クラウドサービスをつなぐケースが増えているという。今回は、テラスカイの代表取締役社長の佐藤秀哉氏にクラウドビジネスについて話を聞いた。
強みはSalesforceの技術力と豊富な経験
テラスカイは、SaaS(Software as a Service)とEAI(Enterprise Application Integration)をキーワードに、サービスや製品を展開している。主要製品としては、Salesforce専用のシステム連携ツール「DCSpider」、Salesforceのサービスと社内システムの連携を行うSaaS「SkyOnDemand」、Salesforceの画面設計のためのSaaS「SkyEditor2」などがある。
DCSpiderを使えば、基幹システムに手を加えることなく、Salesforceのサービスと連携させて、マスタ情報の受け渡しやデータ移行が容易に行えるようになる。また、SkyEditor2を使えば、マウス操作だけで、参照項目や機能部品、レイアウト部品を自由に配置して、Salesforceの入力・参照フォームを作成することができる。
このように同社はSalesforce関連の製品やサービスをいくつも展開しているが、現時点では、収益のほとんどがSalesforceのSIによるものだという。
その理由について、同氏は「当社はSalesforceの経験が豊富なエンジニアやコンサルタントが多いから」と説明する。その数はSalesforce.comのパートナーの中でトップクラスだ。「Salesforceはバージョンアップが頻繁にありながら、ドキュメント類はそれほど多くないです。そのため、トライ&エラーでノウハウを蓄積していかなければなりません。つまり、Salesforceの導入においては経験値がモノをいうのです」と、同氏は語る。
NTTソフトとの提携でクラウド事業を拡大
同氏によると、Salesforce関連のビジネスは好調で、同社ではさばききれないほどだという。というのも、Salesforceのパートナーとして実績を積んできた同社には、基幹システムとの連携など複雑な案件が殺到しているからだ。この不況で業績が厳しいベンダーも少なくないと聞くが、同社にとっては無縁の話のようだ。
「Salesforce関連のリソースは増員しているものの、追いつかない状況です」と同氏は話す。
Salesforceビジネスは大手ベンダーにも拡大しており、同社は今年9月、NTTソフトウェアとSalesforceビジネスを中心に両社のクラウド事業を拡大・加速するため、資本・業務提携に関する契約を締結した。
これにより、テラスカイは現在、NTTソフトウェアの技術者に対し、Salesforceをはじめとするクラウド導入のノウハウを提供している。今後は、両社のエンジニアが協力して、Salesforceの大型案件に当たる。
目標はクラウドインテグレーターとしての地位を築くこと
テラスカイはSalesforceと基幹システムを連携させる「DCSpider」を提供していると上述したが、最近はAmazon EC2との連携が増えているという。同氏はその理由について、「SalesforceはCPUやストレージの料金がAmazon EC2に比べて高いのです。そこで、BIなど大量のデータを使う機能と連携させる場合は、データはAmazon EC2に置いてSalesforceと連携させるという使い方があります」と説明する。BIのほか、バックアップのデータをAmazon EC2に保存するユーザーもいるそうだ。
サーバの配置場所など考慮することなく、クラウドサービス同士を繋いで自由自在に使いこなす――これこそ、真のクラウドの姿と言えよう。
市場のシェアの関係上、現時点ではAmazon EC2との連携が多いが、同氏が今後確実にシェアを伸ばすであろうと踏んでいるのがマイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Azure」だ。将来をにらみ、Salesforceビジネスを進めつつ、Azureにも取り組んでいるという。そして、「クラウドサービスの連携を自在に行う「クラウドインテグレーター」として、市場でのプレゼンスを上げていくことを目指しています」と語る同氏。
Salesforceを利用したくても、「Salesforceだけでは自社のやりたいことが実現できない」と考えている企業もあるだろう。そうした企業はSalesforceを基幹システムや他のクラウドサービスと連携させることで、可能性が広がるのではないだろうか。