デジタルハリウッド大学大学院は、今世間で話題沸騰中のWebサービス「Evernote」を提供するエバーノート・コーポレーションによる、日本初のEvernoteアプリケーションディベロッパー及びWebディベロッパーを対象としたイベント「Evernote Developers Meeting」を開催した。
Evernote躍進の要因は機能の"優位性"のみでなくその"拡張性"にあり。
Evernoteは、情報を効率的に管理・利用することができるWebサービス。最近ではGoogleのWebブラウザChromeを用いることでWeb検索と同時にEvernoteに蓄積した情報を検索できる新たなエクステンションの提供や、Webサイト運営者が発信した情報をユーザーに効果的に利用してもらうための機能「Evernoteサイトメモリー」の提供といった新たな展開を見せている。また、先日発売されたジャストシステムの「ATOK Pad for iPhone」をはじめとするiPhoneアプリや、キングジムの「ポメラ」といったガジェットなどとの機能連携を図るなど、"情報管理・有効利用"という軸を中心に新たな可能性を模索している。
そこで重要なキーとなるのが、本イベントの対象者である開発者やクリエイターの存在。エバーノート・コーポレーションも日本で活躍する彼らのアイディアやセンスに好感を抱いており、交流が図れればとの想いから本イベントが実現したという。
Evernote APIでオリジナルサービス・アプリを創造することも
本イベントでは、ウェブサイトエキスパート編集長の馮富久氏をはじめ、メディアプローブの渡辺泰氏、デジタルハリウッド大学でも教鞭を執っているデータセクションの橋本大也氏、そして「Evernote API」や「Trunk、Site Memory」といったサービスの開発を担当しているSeth Hitchings氏(以降、セス氏)が登壇した。
開発メンバーのひとり、Seth Hitchings氏 |
聴講者の関心をもっとも集めていたのは、セス氏がセッションで語ったEvernote APIについて。現在Webサービスやクライアントアプリケーションとして展開されているEvernoteサービスと同じ機能を有したAPIを活用し、新たに開発者やクリエイターのアイディアを盛り込んだアプリケーションを開発。商用・非商用問わず配布することが可能だという。一例を挙げると、ソースネクストが販売するiPhoneアプリ「超名刺 Business Card Manager」は、Evernoteのノートとの連携はもちろん、Evernote独自の「イメージレコグニション技術」を活用し、撮影した画像から文字情報を取得しているそうだ。「Evernoteにこんな機能があればもっと便利なのに!」、「Evernoteのこの機能を活用すると、こんなサービスを提供できるんじゃないか?」といったアイディアを、開発者やクリエイターとともにカタチにしていきたいスタンスは共感でき、評価に値する。また、そうして誕生したサービスやアプリケーションを、Trunkを通じてワールドワイドで紹介してくれるというフォローの手厚さも嬉しい限りだ。なお、Evernote APIの詳細に関してはオフィシャルWebサイトを確認して欲しい。
今後も「Evernote Developers Meeting」から目が離せない
「手描き文字認識の精度向上のためサンプルの収集に協力してください」と会場で聴講者に呼びかけるなど、気軽に声を掛け合える身近な存在であることを示したエバーノート・コーポレーション。"共創"のパートナーとして、より利便性に富んだサービス、ソフトウェアを創ってみたい。そう思わせるだけの"家族的な暖かさ"を感じたイベントだった。今後も定期的に交流の場を設けるとのことなので、興味がある方は一度参加してみるといいだろう。