ルネサス エレクトロニクスは10月12日、32ビットマイコン「RX600シリーズ」の新製品として、従来製品比で待機時消費電力を約90%削減することが可能な民生、OA、産業機器など向け「RX630グループ」およびネットワーク機器・産業機器向けの「RX63N/RX631グループ」、合計18品種376型名を発表した。2011年1月より順次サンプル出荷を開始、2011年6月からの量産を予定しており、2012年10月以降3グループ合計で月産100万個を計画している。
いずれのグループも従来製品から消費電力を約90%削減した「RTC(Real Time Clock)」を搭載した。また、RTCには専用電源(Vbatt)を採用、2V動作を可能とした。これにより、共通電源を使用していた従来の「RX62N/621グループ」の3V動作に比べ、待機時消費電力を約90%削減することが可能となった。さらに、電源オフでCPUが動作していない間のシステムの状態変化を3端子が独立に検知してタイムスタンプ(日時記録)を押す機能を追加。これにより、ホームセキュリティやPOS周辺機器など電源オフでCPUが動作していない間、システムの開閉や第三者の侵入などの年月日と時刻をタイムスタンプで記録することができるようになった。
また、通信・周辺機能強化による使い勝手向上として従来品に対し「RX630グループ」ではUSB2.0ファンクションを標準搭載。シリアル通信(同期、非同期)のチャネル数を従来の6から13チャネルへ、16ビットタイマを従来の12チャネルから最大22チャネルへ、A/Dコンバータ(ADC)も従来の16チャネルから最大29チャネル(12ビットADCで21チャネル、10ビットADCで8チャネル)搭載している。
一方の「RX63N/631グループ」ではUSBホスト、USB OTG、Ether、CANの機能追加やチャネル数増加を要求に応じピン上位互換でサポート。I2CバスもRX62N/621比で、2から4チャネルへ、CANも1から最大2チャネルへ拡張している。
さらに、内蔵メモリ(256KB~2MB)、パッケージ(64ピン~177ピン)の組み合わせによるラインアップ拡充を実現したほか、パッケージタイプは3グループ共通してLQFP、LGA、BGAなどの小型パッケージに対応させており、各種機器への対応や、同一モデルでの上位から下位機種までの対応が要求に応じて可能となっている。
加えて、3グループともに、データ格納用に従来のデータフラッシュの10倍書き換え回数を実現した10万回の書き換えが可能な32KBのE2データフラッシュを初めて搭載。また、開発環境としても、既存製品と同様に安価でフラッシュライタとしても使用可能な「E1エミュレータ」に加え、トレース、RAMモニタなどの機能を搭載した「E20エミュレータ」も用意されている。