グーグルは10月7日、今年10周年を迎える検索連動型広告「Google AdWords」に関する記者説明会を開催した。説明会では、Google AdWordsの広告オークションの仕組みや品質スコアの解説が行われるとともに、国内事例が紹介された。
初めに、米Google 製品管理部門ディレクター Nick Fox氏がAdWordsの仕組みに関する説明を行った。同氏はAdWordsの理念として、以下の5点を紹介した。
- ユーザーにとって邪魔になるものではなく有益なもの
- あらゆる企業の規模に対応
- 価格はオークションによって決定
- ユーザーの広告を価格に反映
- 継続的に実験、試験、挑戦する
- Webと共に進化
価格を決定するオークションの仕組みは、ユーザーがキーワードによって入札し、上限クリック単価を設定するというものだ。通常のオークションは最終落札者は1人だが、 AdWordsの落札者は複数人になる。
この広告オークションは「ユーザーの広告を価格に反映」という理念とも密接な関わりがある。なぜなら、AdWordsの表示順位は、オークションで決まった上限クリック単価に品質スコアを掛け合わせて算出された広告ランクによって決まるからだ。
品質スコアはユーザーの意見を反映すべく、クリック数で決まる。つまり、ユーザーが好ましいと思った広告はクリックが増え、それがAdWordsの表示に反映されるというわけだ。「品質スコアはGoogleが会議室で決めているわけではない」と同氏。
AdWordsの実験的試みの例としては、検索結果のページ下の広告が挙げられた。このページ下の広告は米国では結果があまりよくなかったので使われていないが、日本では受け入れられたので使われているという。
国内事情については、執行役員オンラインビジネスソリューション本部長 王子田克樹氏から説明があった。米Googleの最初のAdWordsの顧客はロブスターの通信販売業者だったが、日本のAdWordsの最初の顧客ははんこ業者だったという。日本のAdWordsの収益は2009年上半期から2010年上半期にかけて40%伸びているとのことだ。
同氏は国内でのAdWordsの事例を4つ紹介した。4つの事例とは、「京都の老舗の煎餅店」「海外からの旅行者向けゲストハウス」「カギの救急サービス店」「川越の米の生産・販売業者」によるものだ。
京都の老舗の煎餅店は、検索キーワードに対応したテキスト、広告のないように対応したランディングページを用意するという工夫を凝らすことで、AdWordsの効果を上げている。例えば、お彼岸の時期には「お彼岸 お供え」といった検索キーワードを用意し、広告テキストは「お彼岸に老舗のおかきを」用意する
「仮に季節に合った広告テキストを用意しても、リンク先のランディングページがその会社のWebサイトのトップページだったら、ユーザーは購買意欲を失ってしまう。そこで、そのテキストにふさわしい商品のページを別途用意することで、ユーザーの心をつかむことができる」と同氏。
海外からの旅行者向けゲストハウスは、10ヵ国で「賃貸」「長期滞在」というキーワードを設定するとともに、英語・韓国語・中国語による動画をYouTubeに掲載している。カギの救急サービスは、カギをなくしたユーザーがモバイルから検索して表示結果から電話をするという行動パターンをとるであろうという推定の下、携帯電話には電話番号を表示するという方法をとっている。また、川越の米販売業者は「米 取り寄せ」という検索ワードをキーに通信販売による全国への販路を拡大している。