アタッチメントプラグを手にするパナソニックの大坪文雄社長

パナソニックは、環境行動計画「グリーンプラン2018」を策定、2018年度までに、2005年度比で1億2,000万トンのCO2削減貢献量を目標とし、排出総量をピークアウトさせるほか、エナジーシステム事業を3兆円以上に拡大する計画を明らかにした。10月6日から9日まで、東京・有明のパナソニックセンター東京で開催している「パナソニック エコアイディアフォーラム 2010」のオープニングセッションにおいて、パナソニックの大坪文雄社長が明らかにした。

大坪社長は、「1918年に創業したパナソニックの第1号製品であるアタッチメントプラグは、家庭内電気配線が天井の電灯用の時代に、別の電気器具をつなぐ製品として人気を博した。くらしに役立つものを創って売るという出発点である。パナソニックグループは、アタッチメントプラグでも示されるように、モノづくりによって社会の発展・豊かならしに貢献してきた。世界中の、次世代の人たちにために、くらしのグリーン革命を先導し、環境に取り組むことはなにをおいて取り組まなければならないテーマ。この課題解決に貢献できないようであれば、パナソニックの存在意義が問われる。エレクトロニクスNo.1の『環境革新企業』を目指し、全事業活動の基軸に環境を置き、Green Life InnovationとGreen Business Innovationの観点からこれに取り組んでいく。環境貢献と事業成長を一体化し、グリーン指標とグローバルエクセレンス指標の両指標を同時に追求していく」などとした。

また、「グリーンプラン2018は、全従業員が取り組むアクションプランであり、ただちに実際の行動に移していけるものになっている。当社の事業活動のなかで大きなウエイトを占めるのはお客様に商品をお使いいただく時のCO2排出量。便利で快適な製品を届けると同時に地球全体のCO2の増加を抑制していくことが、メーカーとしての役割である」と語った。

グリーンプラン2018では、2005年を基準に改善などをしなかった場合の試算値に比べての削減量を示すCO2削減貢献量で1億2,000万トンのCO2を削減するのに加えて、投入再生資源および投入資源を16%以上に、廃棄物リサイクル率を99.5%以上に高める資源循環のほか、水使用量の最小化、化学物質による環境負荷の最小化、生物多様性への影響把握と保全貢献、環境配慮ナンバーワン製品の比率を30%にまで引き上げるといった方針が盛り込まれている。また、200万人の子どもたちへの環境教育の展開、世界1,000万本の植樹なども行う。

グリーンプラン2018の各目標

パナソニック環境本部 副本部長 宮井真千子氏

同社では、「'eco ideas'Relations」をキーワードに掲げ、「eR」を略称として、さまざまな環境活動を推進するという。

パナソニック環境本部 宮井真千子副本部長は、「先進国、新興国、途上国のそれぞれにおいて、エコに対する考え方が異なる。日本では、エネルギーを使うことが本当に豊かなくらしなのかといったことも出ている。環境配慮型の製品は、機種の拡大とともに、売上げ比率を2009年度の倍増し、各地域における環境ナンバーワン製品の拡大に取り組む。一方で、生物多様性への取り組みに関してはこれまでは社会貢献活動という認識が強かったが、事業活動のなかに落としこんで推進していく」とした。

会見では、インドのエコ親善大使の女優のディヤ・ミルザさんが登場。「インドでは、まだまだ環境に対して理解をしていない点が多い。子どもたちにも環境の大切さを伝えていきたい。将来のインドに対して、貢献ができると考えている」と語った。また、ブラジルのエコ親善大使であるブラジルのサントスFC所属のネイマール・シウバ・サントス・ジュニア選手はビデオメッセージで、「パナソニックのエコ親善大使に選ばれて光栄。パナソニックのエコアイディアをブラジルのみなさんで盛り上げていきたい」と語った。

インドのエコ親善大使の女優のディヤ・ミルザさん

ビデオで登場したブラジルのサントスFC所属のネイマール・シウバ・サントス・ジュニア選手

一方、10月6日から行っているパナソニック エコアイディア フォーラム 2010は、「エレクトロニクスNo.1の『環境革新企業』」を、グループビジョンに定めるパナソニックグループが、創業100周年となる2018年に向けて取り組んでいる環境革新活動を紹介するもの。

会場となるパナソニックセンター東京では、2050年までの環境変化を提示するとともに、パナソニックの100周年ビジョンおよびグリーンプラン2018の取り組み指標を明示。新興国、途上国、先進国における3つのグリーンライフスタイルの提案、環境負荷低減を実現する先進工場の事例、創エネ・蓄エネ・省エネとエナジーマネジメントシステムの紹介などが行われる。

会場となるパナソニックセンター東京

パナソニック エコアイディアフォーラム 2010では最新の環境ソリューションを展示

また、3Dシアターでは、CGアニメとドキュメンタリー映像で、生物多様性に関する事業活動と社会貢献について紹介。9日には、「キッズセミナー&工作教室 身近にできるエコなくらし&ハイブリッドカーをつくろう!inパナソニックセンター東京」が開催され、工作を通じてハイブリッドカーの仕組みを学ぶ。

そのほか、記念講演として、国連環境計画金融イニシアチブの特別顧問である末吉竹二郎氏による「持続可能な社会に向けた企業への期待」、アクセンチュア アジア・太平洋地域公益事業部門統括のアン・バーンズ氏による「グローバルの環境政策とスマートシティの動向」などが予定されている。また、パネルディスカッションでは、エコナビの新たなキャラクターとなった女優の草刈民代さんと、パナソニック アプライアンス・ウェルネス マーケティング本部 中島幸男本部長などによる「くらしの中のエコナビ家電」が行われ、「エコライフ」をキーワードに、くらしの中の省エネ家電について、生活者代表として草刈さんが語ることになっている。

パナソニックでは、昼休み時間を使ったエコ活動として、GIVE the EARTH a lunch BREAKを展開。地産地消での食事や、包装を簡易にし、ゴミを減らすといった活動を13か国で展開。カウントダウンをして、同キャンペーンを開始した。

「GIVE the EARTH a lunch BREAK」キャンペーンのロゴ

GIVE the EARTH a lunch BREAKのスタートにあわせて大坪社長などがスイッチをオン(動画)

GIVE the EARTH a lunch BREAKの初日に用意された昼食

なお、10月6日からは、「パナソニックセンター東京」をリニューアルオープン。これまでビジネス顧客に限定した一般非公開の施設であった「テクノロジー&ソリューションideas」フロアを一般にも公開する。同フロアでは、社会インフラ関連の環境への取り組みを展示しており、土曜日に限り、一般消費者を対象とした当日予約制のガイドツアーを開始する。

新たに公開されたパナソニックセンター東京の「テクノロジー&ソリューションideas」

2018年におけるインドでの家庭の姿

現在、パナソニックがインド市場向けに投入している製品

2018年におけるザンビアでの家庭の姿

三洋電機がウガンダに寄付したソーラーランタン

2018年における日本での家庭の姿

日本市場に投入されているエコナビ商品

パナソニックのエコマネジメントを担うスマートエナジーゲートウェイの試作品

電力の見える化をするモニターも展示

生産拠点のエコを推進するグリーンファクトリーへの取り組み

無電化地域におけるライフイノベーションコンテナ。太陽光パネル18枚と48個のEVバッテリーをコンテナに搭載。一日6kWhの発電を簡易施工、簡単設置で実現した独立型電源システム。学校や医療、店舗などにおいてパナソニック製品との組み合わせでの利用提案も行うほか、災害地や難民キャンプなとでの利用も想定している