アビームコンサルティングは10月6日、製造メーカーに向けて需給改革を低コスト・低リスク・短期間で実現する「需給クラウドサービス」の提供を開始した。同サービスは、同社のノウハウをもとに開発したテンプレートをSaaSによって提供する。
初めに、プロセス&テクノロジー事業部SCMセクター プリンシパル 安井正樹氏から、同サービスがターゲットと位置づけている企業について説明が行われた。
同氏は、中堅以上の国内日用雑貨メーカーにおけるSCM施策に関するインタビューからわかったことして、在庫日数が15日未満のグループ、20日~26日未満のグループ、30日以上のグループに分けられ、各グループの分かれ目として「在庫20日の壁」と「在庫26日の壁」があると述べた。
「在庫20日の壁を乗り越えるポイントは、"自社のサプライチェーンの効率化だけでなく取引先との連携を強化すること"と"日時調整をルール化すること"。また、在庫26日の壁を乗り越えるポイントは、需給管理業務のBPRとそのためのシステムの効果的な導入となる」
同氏によると、在庫が30日以上のグループは営業部は当日のデータを見ているが工場では2日前のデータを見ているなど、関係部署で見ているデータが異なることがあり、すべての関係者が同じデータを見ることができるような環境が必要だという。
同社では、3つのグループのうち、在庫が30日以上のグループに属する企業で最も効果が得られるとして、同サービスの導入を推進していく。
次に、プロセス&テクノロジー事業部SCMセクター マネージャー 山中義史氏が同サービスの導入メリットについて説明した。
同氏は、需給がうまくいってない企業が抱える問題として、「システム投資が高く導入期間が長いこと」、「需給業務が属人的で全社にわたる数字の可視化ができないこと」、「パッケージシステムは不要な機能が多く使い勝手が悪く、評価手法が曖昧で定着のための改善業務が進まないこと」を挙げた。
同サービスで提供する需給テンプレートは「需給業務の標準化」、「将来在庫の見える化」、「需給業務の自動化」の実現により、上記のような問題を解決する。「"需給業務の標準化"、"将来在庫の見える化"、"需給業務の自動化"は需給改革の土台となる。これにより、計画の精度向上、責任権限の再配置といった、需給業務のさらなる高度化が可能になる」
同サービスのプラットフォームには、NECの共通IT基盤サービス「RIACUBE」が採用されている。価格・導入期間は提供するサービス内容により異なるが、初期費用の目安は1,000万円から、月額使用料は100万円から、導入期間は3ヶ月からと想定されている。
グローバルなSCMを行うハイテク企業は一般的な製造業と需給のプロセスが異なるため、同サービスに対して一工夫必要であるとして、同サービスのハイテク企業版のリリースも予定されている。