パナソニックは、新たなエコナビ機能を搭載したエアコンおよび洗濯乾燥機を発表。それにあわせたキャンペーンを国内で展開すると発表する一方、グローバルに向けたボリュームゾーン戦略を加速する方針を明らかにし、2012年度にはボリュームゾーン製品で40%の構成比を目指す方針を掲げた。

パナソニックは、2009年から省エネ性に優れ、家電機器そのものが電気や水などのムダを見つけて自分でエコする製品を「エコナビ」とし、2009年に第1号製品を投入して以来、これまでに累計400万台を出荷。2009年度には8カテゴリー75機種だったものが、2O10年度には、エアコン、ドラム式洗濯乾燥機、食器洗い乾燥機、トワレ、冷蔵庫、掃除機、エコキュート、照明、薄型テレビなど、14カテゴリー160機種へと拡大している。

エコナビ製品はこれまで累計400万台を出荷

エコナビ構成比は大幅にアップ、2012年には40%を目指す

自分でムダを見つけて節電するのがエコナビ家電

今回の新製品投入でさらにエコナビ製品ラインを拡大

パナソニック 役員 アプライアンス・ウェルネスマーケティング本部 本部長 中島幸男氏

「これまではフラッグシップ製品だけだったものを、今後は中級ゾーンにまで拡大し、より多くの人にエコナビを活用してもらえる環境をつくる」と、パナソニックのアプライアンス・ウェルネスマーケティング本部 中島幸男本部長は語る。

エコナビ搭載製品を購入したユーザーのうち、約7割が電気代が下がったことを実感しており、今年エコナビ機能を搭載したエアコンを購入した人のなかには、今年の猛暑のなか昼夜を問わずにエアコンを動かしていたものの、電気代が前年と同じだったという例もあった。

今回新たに投入したのは、エコナビ搭載製品の主力と位置づけられるエアコンと、洗濯乾燥機。

ルームエアコン「Xシリーズ」は、排熱を蓄えて暖房エネルギーに有効活用する「エネチャージシステム」を世界で初めて搭載。従来は室外機から大気中に排出していた熱を有効活用し、温風スタート時でも約50℃の高温風を実現した。さらに霜取り運転中も温風が止まらない「ノンストップ暖房」により、「霜取り運転時に温風が止まり寒く感じる」といった状況をなくし、快適性な暖房環境を維持できるという。

また、「NA-VX7000L」をはじめとするドラム式洗濯乾燥機の新製品では、新開発の「エコヒートポンプエンジン」を搭載。高さを抑えた新ヒートポンプユニットをドラム上部に設置して循環風路を短縮し、抵抗を約20%低減することで風量を増大。乾燥効率を洗濯乾燥時の省エネ性を向上した。また、衣類の量や乾き方を判定し、布量や綿衣類が少ない時はコンプレッサーの回転数を制御して最大約10%省エネ運転を行う。

さらに、今回の新製品発表にあわせて10月5日からスタートする新たな「エコナビ」キャンペーンでは、ユーザー代表として、三谷幸喜氏、草刈民代氏、進藤晶子氏、つるの剛士氏の4人を起用。さらに、「エコナビ塔載家電 1台で、1本の植樹を!」キャンペーンも引き続き実施する。パナソニックでは、今回のキャンペーンを含め、2012年までに500万本の植樹を目指す。

今回投入するエコナビ新製品のドラム式洗濯乾燥機とルームエアコン

新たな「エコナビ」キャンペーンのキャラクターとなった女優の草刈民代さんと、タレントのつるの剛士さん。草刈さんは「お店でエコナビを勧められてパナソニックの製品をすでに利用している」とし、つるのさんは「電機製品からエコを学んだ」とコメントした

パナソニック 常務取締役 ホームアプライアンス社 社長 高見和徳氏

一方、パナソニック 常務取締役 ホームアプライアンス社社長である高見和徳氏は、新たなボリュームゾーン製品の創出について取り組む姿勢を示した。

高見氏は、「アプライアンス需要は安定した成長が続き、2012年度までの年平均成長率は2.8%増となる。とくにアジア、新興国市場はそれぞれ5%台の伸びが期待されている。日本は年率1.3%増の成長率とそれよりも低いが、アプライアンス市場において、日本は約20%の構成比を持つ市場で大きな存在感がある」と前置きし、「第1ステップを日本、中国、アジアでの地盤強化とすれば、第2ステップはインド市場拡大、欧州事業の本格化ということになる。また、2012年度以降、第3ステップとしてブラジル市場の拡大に取り組む」とした。

これまで日本、中国、アジアを中心に展開してきたパナソニックだが、昨年からの欧州市場への参入に続き、インド市場の開拓に乗り出しており、今後は新興国市場の攻略によって、海外事業を拡大する姿勢をみせる。従来までの富裕層を対象とした現地仕様のボリューゾーン製品に加えて、新たに中間所得層を対象とした製品領域にまで積極展開。そのために、世界統一のベースモデルを確立し、そこからグローバル展開による群開発へとつなげるという。「ベースモデルに、各国にあう付加機能を搭載し、世界展開を群で行う。2012年度にはボリュームゾーン製品で40%の構成比を目指す」としている。

アジアや新興国を中心にアプライアンスは安定した需要が続く見ている

まずは日本および中国市場を固め、次にインド市場を狙い、その後ブラジルなどを射程に収める

グローバル市場におけるボリュームゾーンの創出は中間所得者層の取り込みがカギ

群展開のために、現地の実状に基づいた商品企画を開始しており、顧客データ、市場データ、競合データなどの情報収集機能、顧客トレンドや競合他社分析による分析・予測・仮説立案をもとにして、その国ごとのターゲット顧客、商品コンセプトを明確化した商品基本戦略を検討できる体制を構築。これをもとにグローバル展開を図る。「すでにグローバルで統一的な展開が行える体制が整っている。マーケティング発想で群商品を企画、開発し、群開発を促進する」などとした。

さらにグローバル成長を支える技術として、ヒートポンプ技術、インバータ技術、グリーン材料技術を「環境コア技術」とし、センサー技術、プログラム技術、ナノイー技術を「独自の最先端技術」と位置づけ、これらの組み合わせによる最先端省エネ商品をグローバル展開するとした。高見氏は、こうした展開により、「2018年度には、アプライアンスナンバーワンの環境革新企業を目指す」と宣言した。

群展開するための現地の実情に基づいたマーケティングプロセス

エコナビのグローバル展開を支えるのは環境コア技術と独自の最先端技術

2018年度にはアプライアンスNo.1の環境先進企業をめざす